本郷保長(西山保長)

20160321

2016年5月1日に東京流通センターで開催される文学フリマに出店します。
サークル名は「働くメンヘラ」、スペースは「イー21」です。
 
サークル紹介 「働くメンヘラ」 イ-21
「第二十二回文学フリマ東京」2016年5月1日(日)のご案内
 
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終わりの後に
  
 二〇一四年二月、長らく書店に並ぶことのなかった小林美代子の本がとある出版社から出版された。かつての小説集『髪の花』に掲載された小説と、『文芸首都』に載ったエッセイ、さらに表題作として遺稿となった「蝕まれた虹」を収録した単行本『蝕まれた虹』の巻末には「小林美代子様の作品の著作権者・著作権継承者を探しています」と記載され、著作権法の規定に従い、「著作権者不明等の場合の裁定制度」を用い、文化庁長官による裁定によって著作権者不明のまま再び世に出ることになった。
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生きてきたあかし

 ソポクレスに「コロノスのオイディプス」という作品がある。死を目前にした偉大な作家が書き上げた悲劇は、歿後、孫の手によって上演された。これはソポクレスの最高傑作「オイディプス王」の後日譚で、実父殺しに気付いたテーバイ王オイディプスは両目をえぐり国を追われるが、長い放浪の末、アテナイ郊外コロノスの森にたどり着いたところから、物語ははじまる。悲劇はオイディプスが得たアポロンの神託を中心にして繰り広げられる。その神託とは、彼が死ぬことになった土地に恵みがもたらされるというものだ。彼の二人の息子は対立し、戦争によって結着をつけるべく準備を進めている。それぞれの息子が、神託の力を自らのものとしようと、オイディプスに自分の方に味方して欲しいと頼みにくるのだ。そんな息子らを追い返し、オイディプスはコロノスの森で死ぬことで、アテナイに祝福をもたらす道を選ぶ。
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 何かを語りたい時がある。例えば、よろこびを分かち合いたい時。辛いことについて共感してほしい時。自慢して優越感を得たい時。大きな街のカフェでは休日、いろいろな年代の男女が自身について語り合っている。隣の席で交わされる会話に耳を澄ましてみると、とにかく消費してしまいたい何かがあって、誰かに向かって語りつくすことで、心のうちをすっきりとさせている様子が良く分かる。語ってしまえば、いろいろは消えてなくなるのだ。生活の澱みは少し減って明日からの毎日をまたやっていこうという気になれる。あるいは感情の処理としての語りではなく、知識や情報を交換し、自らの考えについての論理性を確認するために語ることもある。語りあった内容は語り手と聞き手双方に蓄積され、それぞれの活動をより豊かにさせる。この種の語りは書くこととも親和性が高い。古代の哲学者が先生の語る内容を書物に記したように、書き残すことで語りの成果を反芻したいと思う時もある。では、自分の人生について書き残したいと願う気持ちとはいかなるものであろうか。 » すべて読む
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