渡辺 俊介



連載【芸術とスタンダール症候群】とは?

筆者が【幸福否定の研究】を続ける上で問題意識として浮上してきた、「芸術の本質とは何か?」という問いを探る試み。『スタンダール症候群』を芸術鑑賞時の幸福否定の反応として扱い、龍安寺の石庭をサンプルとして扱う。

連載の流れは以下のようになる。

  1. 現状の成果…龍安寺の石庭の配置を解く
  2. スタンダール症候群の説明
  3. スタンダール症候群が出る作品
  4. スタンダール症候群が出やすい条件
  5. 芸術の本質とは何か?



(『芸術とスタンダール症候群---3:比率と美意識についてから続く)

スタンダール症候群の研究に至るまでの経緯


※ スタンダール症候群が報告される代表的な場所:フィレンツェのサンタ・クローチェ聖堂

前三回を使い、龍安寺石庭の配石やピタゴラス学派の数に対する考え方などを例にとりながら、芸術表現における数の機能や比率の問題について考察を進めてきました。今回は、その際に指標として使った〈反応〉を改めて説明し、連載のタイトルでもあるスタンダール症候群との関連について書いてみたいと思います。

私は東洋医学の理論を基盤とした整体を仕事にしていますが、この研究は、日々接する患者さんの一部に見られる不思議な行動に着目するところから始まりました。

本人が「治りたい」と言っているのに、治そうとする意識がみられない。また、一つの症状が改善すると別の症状が出てしまう、通所理由だった持病が改善すると、次は他の問題行動が目立つようになる等、施術者から見ると理解が出来ない現象が見受けられたのです。

私は、これを一種の自滅的な行動として解釈しました。

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連載【芸術とスタンダール症候群】とは?

筆者が【幸福否定の研究】を続ける上で問題意識として浮上してきた、「芸術の本質とは何か?」という問いを探る試み。『スタンダール症候群』を芸術鑑賞時の幸福否定の反応として扱い、龍安寺の石庭をサンプルとして扱う。

連載の流れは以下のようになる。

  1. 現状の成果…龍安寺の石庭の配置を解く
  2. スタンダール症候群の説明
  3. スタンダール症候群が出る作品
  4. スタンダール症候群が出やすい条件
  5. 芸術の本質とは何か?



『龍安寺の石庭を解明する-2』から続く)

黄金比と美意識---〈数の機能〉


※ 黄金比の現れとして有名なオウムガイ

龍安寺石庭について、前回は実際に石庭の図を見ながら配石比率を検討し、おおよそどのような規則性が考えられるかを書きました。今回は、そこに現れていた数字の意味についてさらに考えてみたいと思います。

まず、私が出した暫定的な結論をもう一度見て下さい。
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連載【芸術とスタンダール症候群】とは?

筆者が【幸福否定の研究】を続ける上で問題意識として浮上してきた、「芸術の本質とは何か?」という問いを探る試み。『スタンダール症候群』を芸術鑑賞時の幸福否定の反応として扱い、龍安寺の石庭をサンプルとして扱う。

連載の流れは以下のようになる。

  1. 現状の成果…龍安寺の石庭の配置を解く
  2. スタンダール症候群の説明
  3. スタンダール症候群が出る作品
  4. スタンダール症候群が出やすい条件
  5. 芸術の本質とは何か?


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『幸福否定』と『芸術』と『スタンダール症候群』


久しぶりの投稿になります。
2012年から2014年まで【幸福否定の研究】を連載していた渡辺です。

あれから数年が経過し、自身の認識に様々な更新があったため、また新しく連載をはじめようと思いたちました。『スタンダール症候群』という奇妙な現象の研究を踏まえながら、「芸術の本質とは何か?」を探る試みです。
 
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【幸福否定の研究とは?】

勉強するために机に向かおうとすると、掃除などの他の事をしたくなったり、娯楽に耽りたくなる。自分の進歩に関係する事は、実行することが難しく、“時間潰し”は何時間でも苦もなくできてしまう。自らを“幸福にしよう”、"進歩、成長させよう”と思う反面、“幸福”や“進歩”から遠ざける行動をとってしまう、人間の心のしくみに関する研究。心理療法家、超心理学者の笠原敏雄が提唱している。
 


またも前回の更新から期間が空いてしまいましたが(二ヶ月強)、今回で、2年に渡って続いたこの連載も最終回となります。書き始めた当初の想定よりもずっと時間と回数がかかってしまいました。

理由のひとつとして、2年前から計5名の末期がんの患者さんを施術し始めたことがあります。その経験から得た知見によって新たに書き加えなければならないことが発生し、併せて全体の構想も変わっていきました。今回は、そういった点なども含めて、長期化した連載全体の内容を簡潔にまとめてみたいと思います。 
 
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【幸福否定の研究とは?】

勉強するために机に向かおうとすると、掃除などの他の事をしたくなったり、娯楽に耽りたくなる。自分の進歩に関係する事は、実行することが難しく、“時間潰し”は何時間でも苦もなくできてしまう。自らを“幸福にしよう”、"進歩、成長させよう”と思う反面、“幸福”や“進歩”から遠ざける行動をとってしまう、人間の心のしくみに関する研究。心理療法家、超心理学者の笠原敏雄が提唱している。
 


前回の更新で、暫定的な見解として、"症状"という視点からみた人間は環境に左右される受動的な生物ではなく、"主体性"を持っているのではないか、と書きました。

“主体性”という概念は、心理療法を通じて私が確認した"人間の本質"へ非常に大きく関わってくるので、今回は補完的にさらにいくつかの例を挙げてみたいと思います。まず、 ポール・ティベッツ(広島に原爆を投下しらB29戦略爆撃機「エノラ・ゲイ」の機長)の例を見てみましょう。
 
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【幸福否定の研究とは?】

勉強するために机に向かおうとすると、掃除などの他の事をしたくなったり、娯楽に耽りたくなる。自分の進歩に関係する事は、実行することが難しく、“時間潰し”は何時間でも苦もなくできてしまう。自らを“幸福にしよう”、"進歩、成長させよう”と思う反面、“幸福”や“進歩”から遠ざける行動をとってしまう、人間の心のしくみに関する研究。心理療法家、超心理学者の笠原敏雄が提唱している。




承前

またしても間隔が空いてしまったわけですが、前回は"症状"というものに対する私なりの考え方を書きました。主旨としては、これまでの患者さんに対する治療経験も踏まえた上で、"症状の強さは異常の程度と比例する"という、西洋医学の伝統的な考え方が必ずしも当てはまらないケースもあるのではないか?というものでした。

その延長にあるものとして、前回の最後で、「ストレス、トラウマ理論に立脚している現在の精神医療の問題点を簡単に紹介したい」と書いた通り、今回は笠原氏の心理療法の追試を踏まえ、現在の精神医学が孕む問題点に関しての私見を述べたいと思います。
 
(主に、笠原氏の著書、『加害者と被害者のトラウマ(国書刊行会、2011年)』を紹介する内容になります。)
 
 
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【幸福否定の研究とは?】

勉強するために机に向かおうとすると、掃除などの他の事をしたくなったり、娯楽に耽りたくなる。自分の進歩に関係する事は、実行することが難しく、“時間潰し”は何時間でも苦もなくできてしまう。自らを“幸福にしよう”、"進歩、成長させよう”と思う反面、“幸福”や“進歩”から遠ざける行動をとってしまう、人間の心のしくみに関する研究。心理療法家、超心理学者の笠原敏雄が提唱している。


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【幸福否定の研究とは?】

勉強するために机に向かおうとすると、掃除などの他の事をしたくなったり、娯楽に耽りたくなる。自分の進歩に関係する事は、実行することが難しく、“時間潰し”は何時間でも苦もなくできてしまう。自らを“幸福にしよう”、"進歩、成長させよう”と思う反面、“幸福”や“進歩”から遠ざける行動をとってしまう、人間の心のしくみに関する研究。心理療法家、超心理学者の笠原敏雄が提唱している。



前回は、「好転の否定」という重要な問題について考察しましたが、今回は心理療法を進めていく上で観察される「無意識の現象」というものについて解説します。(注1)大きなポイントとしては、以下の二点が存在します。順にみていきましょう。




  1. 治療者の理解が深まってくると、直前の出来事を探っても症状が消えにくくなる。
  2. 治療者が「抵抗」に直面しているかどうかが、治療効果に関係してくる。

 
 



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【幸福否定の研究とは?】

勉強するために机に向かおうとすると、掃除などの他の事をしたくなったり、娯楽に耽りたくなる。自分の進歩に関係する事は、実行することが難しく、“時間潰し”は何時間でも苦もなくできてしまう。自らを“幸福にしよう”、"進歩、成長させよう”と思う反面、“幸福”や“進歩”から遠ざける行動をとってしまう、人間の心のしくみに関する研究。心理療法家、超心理学者の笠原敏雄が提唱している。



前回は、私が6年前から、笠原氏の心理療法を追試し、下記項目の内容を肯定する結果を得たことを書きました。



①心因性症状は、直前の出来事が原因になっているか?

②原因の記憶が消えているか?

③原因となっていることは、幸福に関係することか?

④感情の演技で根本的な人格の変化が起こるか?

⑤抵抗に直面することで、心因性疾患の根本的な改善が起こるか?
 

 

今回は、心理療法を続けていく上で発生し、この連載でも何度か言及した”好転の否定”という問題について書きたいと思います。

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