いなくていい人

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(撮影、編集:東間 嶺、以下全て同じ)

【承前】各駅電車のステージ(第2回)

 子高生の体が、電車の揺れによって傾き、体にぶつかった。彼女の髪の匂いなどを嗅ごうと、息を吸い込んだ。彼女の右手の指は、携帯、ではなくスマフォの液晶上をせわしなくも優雅に飛び回っている。

 かちかち、かちかちかちかちかち(実際こんな音はしないが、おれの耳は『ケータイ』から脱却していない)。

 T高校の制服を着ているこの娘は、おれの降りる駅の一つ前の駅で降りていく筈だ。誰にどんな内容のメールをしているのだろう。あんなに一生懸命にメールするような友達がおれにはいない。肩越しに画面を覗いてみようとしたが、角度が悪く反射して見えない。

 この娘は紺のソックスを履いている。それは今知った情報ではなく、さっき見て気付いた事だ。スカートの影に覆われた白いふくらはぎにぴったりと張り付いたソックスの様子は可愛らしく、学校が終わって家に帰り、それを脱いだ脚にはうす赤くゴムの凹凸が肌に残っているだろう。ベッドに腰掛けて彼女は一人、なんとなくその跡を自分で撫でてみたりするかもしれない。指先が凹と凸を交互に、順々に上がったり下がったりを繰りかえしながら、肌の上を滑っていく。

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【このシリーズについて】

私は34歳です。データ分析を仕事にしたくて、ほとんど未知の領域であるにもかかわらず、この春(2014)思い切って転職しました。入れてくれた会社には感謝ですが、何も分からずほとんど貢献できていない現在、自分でも心苦しいし、何よりそのうち解雇されてしまいます。

というわけで、なんとか会社に食らいつくべく、仕事の後に、少しずつでも勉強することにしました。そして、勉強した内容を、ブログに記録していく事にしました。

したがって、このテクストは情報を世間に流そうとか、あるいは誰かの為に分かり易く解説してあげようとか、そういうタグイのものではなく(私にはそんな資格はありません!)、あくまで自分の学習を目的として書かれています。
 

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(撮影、編集:東間 嶺、以下全て同じ)

 大便を漏らしてから、そのままトイレの中で呆然としていた。
 すると、個室の一つが開いた。出てきた人と目を合わさずに個室に入った。

 ジーンズを、うんこがこれ以上付かないように、足と生地の間に隙間を作りながらゆっくりと脱いだ。右足を抜く時バランスを崩して、ドアに体を当てた。鍵の金具が腰に当たり、思わず「うっ」と声が出た。脱いだジーンズをフックにかけて、それからトランクスを脱ぎ、うんこが指に付かないようにつまんでそれをゴミ箱に投げ入れた。靴下を除いて下半身が全裸になったおれは尻を拭き、足を拭いた。トイレを流した際に貯水タンクへ注がれる水で、トイレットペーパーを湿らし、丹念に拭いた。
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 前書き  

私は34歳です。

データ分析を仕事にしたくて、ほとんど未知の領域であるにもかかわらず、この春思い切って転職しました。入れてくれた会社には感謝ですが、何も分からずほとんど貢献できていない現在、自分でも心苦しいし、何よりそのうち解雇されてしまいます。

なんとか会社に食らいつくべく、仕事の後に、少しずつでも勉強することにしました。そして、勉強した内容を、ブログに記録していく事にしました。

したがってこのブログは、情報を世間に流そうとか、あるいは誰かの為に分かり易く解説してあげようとか、そういうものではなく(私にはそんな資格はありません!)、あくまで自分の学習を目的としてます。

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(撮影:東間 嶺)


  一駅目

 がついたときにはすでにうんこが出口まで来ている、ということが頻繁にあり、つまりそれがおれの体質なのだ。普通の人はもっと早く便意や尿意に気がついて、造作なく処理しているのだとしても。みんな、大抵のことはおれよりもうまくやるのだから。
 
 早稲田を二回受験したが、二回ともうんこを漏らした。
 
 衆人環境で脱糞したのは幼児期を除けば今のところは人生においてあの二回だけで、そのどちらもが早稲田受験の時だったのだから、きっと早稲田大学と前世などでなにかあったのかもしれない。
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08.25(日)

朝から、キム・ギドクのリアル・フィクションという映画を見る。主人公が、恨みを持っている人間をピストルで次々と撃ち殺していくという映画。頭おかしいんじゃん?昼ご飯はペペロンチーノとサラダ。
 
ジムへに行く。
1時間ほど運動。

それから図書館で行動経済学の入門書を読む。
家に帰って晩酌。麒麟ラガービールと柿の種。夕ご飯はニラ玉とモツ煮込み。

中国語の podcast を聴く。剩头士という言葉を知る。
聖闘士星矢に引っ掛けたネット(おたく)用語で、未婚の女性のことを揶揄した言葉らしい(負け犬みたいな) 。「剩女」は、字の通り「余り物の女性」のことを言う中国語でこれは昔からある言葉の様だが、そこから派生してさらに茶化したネット用語が「剩头士」だそうだ。結婚の相手を求めて、戦うという意味が込められているらしい。
ただ、25 歳位の女性が該当すると解説されているが、若過ぎないか?

中国の結婚観ってそんななのか。
 
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8.21(水)

朝食は昨日のカレーの残りとパン。バナナも。7:50出勤。8:55出社。昼食は会社の友人と、「ととや」で赤魚鯛の塩焼き。さっぱりしてておいしい。18:10退社。丸善で、データサイエンティストの情報誌と時間管理本を購入。喫茶店で読む。時間管理で重要なのは以下のポイントか。

  • To Do リストを作り、優先順位をつけて実行する。
  • 全部終わらなくても、気にしないこと。次の日に見直して、またリストを作る。その繰り返し。
  • ガントチャートを作り、進行状況を可視化する。

目標を常に意識して、目的指向にすることが大事だろう。
時間管理自体を目的にするのは馬鹿げている。

しかしそれにしても、毎日、やりたいことがまっとうにできていない感じ、常に間違った事をしている感じがするのは、どういうことなのだろう。一種の精神病か何かかもしれない。

夕食は餃子とビーフンにサラダ。
 

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6.28(金)

仕事で取引先から叱られ、上司にも責められる。まことに腹が立つ。残業せずにとっとと帰宅。神楽坂のカレー屋で野菜炒めカレー。英会話。先生が来月スリランカに移住してしまうため、最後の授業。ビーチのそばに住居を構えるというから羨ましく聞こえる。日本は良い国だ、と誰もが口を揃えて言うが、東京のサラリーマン達の何割が、一体本当に人生を楽しんでいるだろうか。英会話後、マッサージ。帰宅。
 

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6.21(金)  

6:45起床。33歳。胸の内部にガスが溜まっているような息苦しさがあり、天気は曇り空に小雨、台風が接近している。トーストと珈琲、コーンフレークとプラムを食べる。7:45に家を出る。満員電車。殺意。会社の朝のラジオ体操に絶対に間に合わないように、会社近くの喫茶店で時間をつぶすのが日課になっている。近ごろの珈琲の飲み過ぎを気にしてハニージンジャーティーという飲み物を注文する。まずくもなく、旨くもなく、中途半端な味だ。8:55に出社。これは部内で一番遅い出社だ。そしてあまり面白くない仕事を中途半端な集中力で始める。時々便所に行き、便器の上で少し寝たりする。17:50に退社。ある先輩社員が苦笑しながらぼくを見て、「ぼくはこれからが仕事の始まりだよ〜」と言う。「ぼく、応援してますよ」と応え、さっさと退社する。マニアックな品揃えが有名なCDレンタルショップ・ジャニスに行きCDを返し、中国書専門店の内山書店を物色し、思わず三国志演義の原書を買ってしまう。どうせ読めないくせにこういうものを買ってしまう癖がある。2000円もした。19:30より飯田橋で英会話だ。もうすぐ先生はスリランカに移住してしまうので、次で最後のレッスンとなる。21:45に終了し、不調な体を抱えこんで帰宅。シャワーを浴びて寝る。
 
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