東間 嶺


今年みた映画---2017年上半期その1から続く

3位:『ブラインド・マッサージ』/ロウ・イエ


劇場:1月後半、アップリンク渋谷で

(※ 現在はUPLINK Cloudでオンライン動画のレンタルが可能)。



「視えない人」のセックスってすごいですね


■ 知人の彼女がこの映画を観終えて、最初に言った感想だという。そのひとは下北沢とか中野が象徴するカルチャーの大好きな、いわゆるサブカル女子(大学生)で、これまでロウ・イエの映画を観たことがない、という話だった。「ほかのも、こんな感じなんです?」そう問われた知人は「まあ、そう…かも?」と曖昧に答えたらしい。

■「こんな感じ」が、どんな「感じ」なのかは、もう少し彼女にことばの解像度を上げて貰わないと分からないのだけれど、ロウ・イエが一貫して映画で追い求めてきたものという意味ならば、『ブラインド・マッサージ』は、その「感じ」がもっとも濃密にあらわされた、たぶん、いまでで一番の作品なんじゃないかと思う。
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2017年上半期の映画

■ 映画を観たことについて、書くタイミングを失うことが、多い。とりわけ、映画館まで出かけたそれについて。

■ べつにたいした理由があるとかではなく、わざわざ外出までして観た映画について、いいとか悪いとか、思ったことをなるべく正確に書こうと思ってウダウダしていたら、いつのまにか「ハ?いまシン・ゴジラについて書くとか言ってる君の名は?」みたいに、それに言及すること自体がKY化しているからだったりする。
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改良型牛肉麺(調理、撮影、東間嶺。以下キャプチャ以外すべて同じ)

小説と牛肉麺


■ 一ヶ月ほど前から、ここエン-ソフ上にて《回花歌》という小説の連載がはじまっている。上原周子さんという、北海道で文化人類学の研究をやっている人が書いていて、二十回ほど続く予定の作品は、いまのところ二回目までが掲載されている。

■ 【とある大陸の西方に位置する街】を舞台にするその物語は、《牛肉麺屋》を営む人々を中心に展開する。《牛肉麺》とは何か?牛と、肉と、麺。漢字が読める人間なら、伝聞でもそれがどういうものであるかは想像できるだろうし、実際、想像(するだろう)通りのものだ。Googleで画像検索すると、下のような図が出て来る。
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"Witchenkare" (撮影:東間 嶺、以下すべて同じ)

告知---『Witchenkare/ウィッチンケア』vol.8

■ 先月末に公式アカウントからもお知らせしている通り、今年も『Witchenkare』にごく短い小説を寄稿した。タイトルは『生きてるだけのあなたは無理』というもので、文字数は前回の7号(3200字)より少し増やしてもらって、5000字弱。原稿用紙換算、というやつなら12枚半になる。

■ どのようにすれば買えるか。下に示す二択がある。

  • 当然ながら、無敵のAmazon帝国を訪問するのがもっとも簡単で、しかもこのエントリを経由をすると、どうやらわたしに〈アフィリエイト〉収入というやつが入る仕組みになっている。
  • 都内に住んでいる人、あるいは「税金逃れの反日Amazonは許さない!」などの強い信念を持っている人なら、出かけた先の大型書店を探せばおそらくは買うことができるし、その場合は店への売上として貢献、ということになる。
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告知:PND 写真集飲み会 DAIKANYAMA参加

◆ 件名の通り、12月03~04日に代官山のヒルサイドテラス・アネックスA棟にて行われる『PND(PHOTOBOOKS AND DRINKING)写真集飲み会』という変わった名前のブックフェアに出品します。飲み会、と称しているものの、規模的にはアジア最大級のアート・ブックフェアになるとのこと。

 ※ フェアに関して、詳細は、公式ウェブサイト公式FBページを参照して下さい)

◆ 参加するグループ名は、以前に告知をしたTokyo Art Book Fair 2016(以下、TABF2016)と同じ "Photobook as object Photobook WHO CARES" で、曳舟に拠点を構えるギャラリー・スペース『RPS』が企画するブースになります。グループ全体のコンセプト等に関してはFBページか九月のエントリ(【告知】Tokyo Art Book Fair 2016に参加します)をご参照頂ければと思います。
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Photo: My HANDMADE Photo-Object『Remainders of suicides』 #00

『THE TOKYO ART BOOK FAIR 2016』

 I will be participating in 【THETOKYO ART BOOK FAIR 2016】 in Kita-Aoyama, Minato-ku, Tokyo, scheduled for September 16-19, 2016. 

my Group:『Photobook as object Photobook WHO CARES』
BOOTH FOR EXHIBITING: A / INTERNATIONAL / Tracking No: 19
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『Tokyo Art Book Fair 2016』出品作、『Remainders of suicides』 全景(仮)

告知:『THE TOKYO ART BOOK FAIR 2016』

◆ 件名の通り、9月16~19日に港区北青山の『京都造形芸術大学・東北芸術工科大学 外苑キャンパス』で開催される国内最大のアート・ブックフェア、『THE TOKYO ART BOOK FAIR 2016』に出品します。(フェアに関しての詳細は、運営の公式ウェブサイトを参照して下さい)。

◆ 参加するグループ名は"Photobook as object Photobook WHO CARES" です。ブースタイプは A / INTERNATIONAL Tracking No:19。曳舟に拠点を構えるギャラリー・スペース『REMINDERS PHOTOGRAPHY STRONG HOLD』(以下RPS)が企画したブースになります。以下、グループ全体のコンセプトを公式FBページから引用します。
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Nov. 11. 2015 "security guard"  Futaba, Fukushima
Nov. 11. 2015 "security guard"  Futaba, Fukushima(撮影:東間嶺)


"えんがちょ"を蒸し返す

◆ 朝、半年ほどチェックしていなかった小田嶋隆の『ア・ピース・オブ・警句』 をまとめて読んでいたら、2月のある日の更新で、オダジマがまた、【原発のお話を蒸し返さねばならない。】と言っていた。Google Calendarの日付をみる。ああ、そういえば今日は11日で、震災から5年と三ヶ月を迎える日なのだった、と思う。

◆ 蒸し返すには、おあつらえ向きの日かもしれない。



正しいとか正しくないとか、良いとか悪いとか、論理的だとか感情的だとか、そういう真正面からの議論を展開する以前の段階で、われわれは、そもそも、異なった見解を持つ人間と対話を持つことそのものに気後れを感じるように育てられている。だから、ある臨界点を超えて論争的になってしまった問題に関しては、それについて自分がどういう考えを持っているのかとは別に、はじめからその問題に関与すること自体を避ける。

 原発は、そういうものになっている。

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Witchenkare/ vol.7-1
"Witchenkare" (撮影:東間 嶺、以下すべて同じ)

告知

■ 先月末に公式でもお知らせしている通り、今年も文藝創作のリトルプレス『Witchenkare(ウィッチンケア)』に、『死んでいないわたしは(が)今日も他人』というごくごく短い小説を載せています。はじめて書かせて頂いたvol.5から数えると三回目の寄稿になり、この場で告知をするのも三回目です。実にあっという間ですね。
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RPS-08/12/2015
photo: 東間 嶺



“わたしは、写真集を視覚的な小説だと思っている”
“今日、写真は、(進化した、視覚的な)言語の一つである”
 


◆ Teun van der Heijden(トゥーン・ファン・デル・ハイデン)氏は、その晩、何度かそうしたニュアンスの言葉を強調した。8日の火曜日、午後19時から東向島のRPSで行われた公開講義、『本の速度とリズム』での発言だった。

◆ 《小説》、と断定したことに、わたしは少し驚いた。小説のような写真でもなく、写真のような小説でもない、視覚的な小説。それらをはっきりと同一視する人間には、会ったことが無かったからだ(アラーキーの『写真小説』とかは、あれはブンガクだから)。

◆ スクリーンに映し出された自身のテクストをゆっくりと読み上げるファン・デル・ハイデンvan der Heijden氏の確信に満ちた口調は、啓示的な響きをもって、会場の聴衆を惹きつけていた。
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