杏ゝ颯太


承前

 歯切れのよさに回収されない「ハルカ」の言葉。
 
 今回は「嘆き」という側面について書いてみたいと思う。
 まず、私がかつて書いた文章を引用する。 » すべて読む
 
 ハルカトミユキに『Vanilla』というタイトルの曲がある。

 長らく私はなぜこの歌のタイトルが『Vanilla』なのかまったくわからなかった(もちろん、今でもよくわからないと言えばよくわからない)。

 しかしながら、福島遥のある短歌を目にしたとき、私はハッとした。 » すべて読む

承前

 前回のエントリにおいて、近い過去の僕が書いた文章を引用し、「ハルカ」および「ミユキ」という固有名が表すものをそれぞれ述べた。

 もう一度繰り返す。

 「ハルカ」は顔を持つ。
 すなわち、言葉や姿を通して前景化している状態を指す。

 一方、「ミユキ」は顔を持たない。
 「ハルカ」の影の役割を担っている。
 
 そして、基本的には「ハルカ」=「ハルカさん」、「ミユキ」=「ミユキさん」であることが多いけれども、必ずしもそうであるわけではない。

 事実、私は「ハルカさん」の中に「ミユキ」を見出だした。

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 買わないだろうと思っていた村上春樹の『女のいない男たち』を先程購入し、まえがきと『女のいない男たち』を読んだ。

 買わないだろうと思っていたのには、二つの理由がある。

 まず、最もどうでも良い理由から。

 『文藝春秋』に掲載されたさいに三つの作品(『ドライブ・マイ・カー』、『イエスタデイ』、『木野』)を読んでいたこと。

 次に、最も重要な理由。

 僕はまだ「女のいない男たち」ではないということ。   » すべて読む
承前

 では、ハルカトミユキについて具体的に書くことにしよう。
 まず、ハルカトミユキとは誰か?という疑問が浮かぶように思える。
 端的に言えば、ハルカトミユキとは「ハルカ」ト「ミユキ」のことである。
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(承前)

 「ハルカトミユキはすばらしい!」と唯一語ることの出来ない相手は、他ならぬハルカトミユキである。 

 前回の終わりに、私はそう書いた。それには理由があるとも。
 簡単に言えば、私は怖いのだ。
 
 例えば、こんな風に思われてしまうのが。


みんな歌なぞ聴いてはゐない
聴いてるやうなふりだけはする

みんなたゞ冷たい心を持つてゐて
歌なぞどうだつてかまはないのだ

それなのに聴いてるやうなふりはする
そして盛んに拍手を送る

中原中也「詩人は辛い」『新編 中原中也全集第一巻 詩1』角川書店、2000年、339-340頁
 
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承前) 

 前回の末尾にも引用した言葉だが、小林秀雄によると、すばらしい!と言うことは溜息そのものである。

(以下、再掲)


趣味のない批評家、つまり良心のない批評家は如何なる作品の前に立っても驚かぬ。何故って徐にポケットから物差を索り出せばよいからである。だが少しでも良心をもつ批評家は物差を出すのが恥ずかしい、だから素手で行こうとする。処が途中で止って了う。これから先は兎や角言う可きでない、すばらしい!と溜息なんか吐いて了う。何故君は口から出ようとする溜息をじっと怺えてみないのか?君の愛と情熱との不足が探求の誠実を奪うのだ。若し君が前にした天才の情熱の百分の一でも所有していたなら、君は彼の魂の理論を了解するのである。何故って君の前にある作品を創ったものは鬼でもなければ魔でもないからである。この時君に溜息をする暇があるだろうか?

(小林秀雄「測鉛Ⅱ」『小林秀雄全作品〈1〉様々なる意匠』、新潮社、2002年、110頁)
 


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 いま私は連載という形式で新たに文章を書き始めようとしている。しかしながら、矛盾するようだが、私が現段階で書けることはすべて僕が書いてしまっている。

http://blog.livedoor.jp/annedo0826sota/archives/1001535858.html
 
 私は昨年の末から断続的にハルカトミユキについて書いてきた。
 
 ざっと目を通して、いや、スクロールをしてもらえればおわかりになると思うが、そこには不規則に並んだ複数の日付が記載されている。

 この一つにまとめられた文章は当初は日付が記載された日に独立して書かれたものであった。しかしながら、当初は独立して書かれた複数の文章は結果的に不規則な順序を持った一つの文章になってしまった。そして、これからも独立して書かれてはまとめられるという作業が永遠に繰り返されるだろう。  » すべて読む

 大学に入学してから兄と二人暮らしを始めたが、それまでの生活との最も大きな変化は個室を持てたことだった。実家では兄と一つの部屋を共有していたのでしばらくはこの事実が単純に嬉しかった。特に、部屋のドアに鍵が付いていること。これがたまらなかった。 » すべて読む
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