責任、この得体のしれぬもの
私は著者からこの本を献本いただいた者の一人である。
著者の荒木優太は日本文学の研究者だが、大学機関には席を置いていない。過去に日本文学研究の本と、大学とは離れた場所で生きた研究者たち(荒木は愛着を込めて彼らを「在野」と呼ぶ)の業績をまとめた本を出した。また、YouTuberでもある。侮ること勿かれ、この男は「新書よりも論文を読め」といういささか挑発的な題でもって、折々気にかかった論文を動画で紹介している。この動画が面白い。10分に満たない長さで種々雑多な論文を要約して語ってみせるといった試みなのだが、見終えた後には題のとおり新書なんかよりもひとつ論文を読もうか、という気にさせる、そういう男だ。