書評

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※注意。本稿は某文芸誌による、
・高橋源一郎『ぼくたちはこの国をこんなふうに愛することに決めた』(集英社)
・いとうせいこう『小説禁止令に賛同する』(集英社)
・奥泉光『雪の階』(中央公論社)
を同時に書評せよ、という依頼に応えて執筆されたものだが、校了直前に文中にある「こどもだまし&おためごかし」という言葉を変更または削除しなければ掲載しないと言い渡された。私の主観では「こどもだまし」なのは事実なので、頷くことができず、結果、不掲載の憂き目にあってしまった。依然として依頼主に特に恨みをもっているわけではないが、せっかく書いたのだから多くの人に読んでもらいたく、ここに公開する。

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どうも、管理人です。東間です。前年の師走、12月22日にフィルムアート社から発売された荒木優太の新刊『貧しい出版者 政治と文学と紙の屑』ですが、日経の書評などでも好意的に紹介されているのは既に皆さんご存知でしょうが、それ以外も著者本人へTwitterなどでさまざまな感想が寄せられています。

今回は、その中から蓮実さんという方のレビューをご紹介致します。蓮実さんは、『貧しい出版者』がとある条件を満たしていれば、昨年の文芸書界隈では売り上げ&話題度かなり上位の千葉雅也『勉強の哲学』を超えるベストセラーになったであろう、と仰っています。

さて、その条件とは?
以下、お読み下さい。

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さえき近影(2017.10.28)/撮影:東間 嶺

みなさん、こんにちは。新宿文藝シンジケート(SBS)という読書会をやっております、さえきかずひこです。2017年もあっという間でしたね。SBS読書会では11冊の本を取り上げましたが、これは例年同様のことです。ことしはここエン-ソフであまり記事を書きませんでした。その罪滅ぼしではありませんが、1年間自分がどんな本を読んできたのかを軽く振り返って、年末のご挨拶としたく思います。それでは最後までお付き合いのほど、よろしくお願いします!

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※注意。本稿は某ウェブ媒体の依頼に応えて執筆した今年(2017年)を総括するブックレビューであるが、公開の直前に、本を褒めていないため、という理由で、掲載不可の憂き目にあってしまった。リライトをするという選択肢もあったが、時間的逼迫と「書評は褒めるだけのものであるべきではない」という筆者の個人的信条から原稿を引き下げた。依然として依頼主に特に恨みをもっているわけではないが、せっかく書いたのだから多くの人に読んでもらいたく、ここに転載する。

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【SBS】新宿文藝シンジケート読書会、第78回概要
 
1.日時:2017年08月26日(土)18時〜20時
2.場所: マイスペース新宿区役所横店1号室
3.テーマ:田中 圭一『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』を読む。
※ 参考図書:
岡田尊司『うつと気分障害 』(幻冬舎新書)、
桜玉吉『幽玄漫玉日記⑥』、『御緩漫玉日記 ③』
4.レジュメ作成:さえきかずひこ(@UtuboKazu)
5.備考:FBイベントページ



新宿文藝シンジケート 第78回読書会レジュメ
(作成者:さえきかずひこ)


明日の読書会を前に、レジュメ作成を先行公開することにした。まず、結論としては下記のようなものである。


結論:『うつヌケ』は、多様に存在する〈うつ状態〉の原因や問題点を広く探り、その改善したケースの変化の過程を分かりやすくマンガで表現した素晴らしい作品だ!しかし、もちろん読む上での注意点もあるので、長年〈うつ〉に苦しんできたわたし(さえき)の観点も加えて、本書に見受けられるいくつかの特徴を順に見てゆくことにしよう。



 多くの人に取材していて、読者に〈うつ〉患者の多様性に気づかせるのが『うつヌケ』の最大の特徴だ。それを一覧するために、本書に登場する〈うつ〉の人物17名とそのエピソードをかんたんにまとめてみた。特徴としては、優れたクリエイターである田中さん(以下敬称略)の知り合いの、クリエイティブで成功しているように見える人々が多く出てくる。ゆえに、それなりの長い間〈うつ〉に悩んでいる、一般の=平凡な読者には距離を感じさせてしまうかもしれない。その点は気にならないでもない。

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 山本貴光+吉川浩満『脳がわかれば心がわかるか――脳科学リテラシー養成講座』(太田出版、2016)は『心脳問題』(朝日出版社、2004)の増補改訂版である。本書を読んでいて思い出したことがある。
 
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 この雑誌を書評するのも、今回で三度目なのでもう前書きはいいだろう。本題に入ろう。
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前編)より続く


「モランディを、独裁下で生きのこるための道を見出した美術家とみなすことは容易である。しかし彼は実際にはたんに生きのこる以上の事をしていたのである」(エドワード・ルーシー=スミス『1930年代の美術―不安の時代』岩波書店、1987年、76~77頁)。 
 

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画像:amazonより


 最近、武藤洋二の『天職の運命―スターリンの夜を生きた芸術家たち』(みすず書房、2011年)を読み返している。
 昨年11月に新宿文藝シンジケートの読書会で亀山郁夫の『ロシア・アヴァンギャルド』(岩波新書、1996年)が課題図書に取り上げられたが、『天職の運命』の舞台はロシア・アヴァンギャルドの前衛的な芸術運動が終息に向かったスターリン独裁政権下のソヴィエトだ。1932年、ソ連共産党中央委員会が「社会主義リアリズム」を標榜すると、既存の芸術団体の自主的活動は政府によって禁止され、文学、音楽、美術、演劇、映画などあらゆる芸術の統制がはじまった。知識人だけでなく一般市民の生活も監視下にあった極限の時代を、文学者、詩人、画家、音楽家たちはいかに生きたのか。『天職の運命』はロシア文学・芸術を専門とする著者が、長年の資料精査を踏まえて独裁政権下の芸術家の生き様を追ったドキュメントである。註を一切省いた体裁は、研究書というよりもひとつの読み物としての質を備えており、歴史映画の大作数本分にも値するほどのボリュームがある。
 社会が危機的状況を迎えたときの芸術家の振る舞いというものを考えたくて本書を再読しているのだが、この時代の芸術家たちの選択は「抵抗/恭順」などという単純な二項対立では語ることができない。なにしろ、独裁者の気まぐれと報告書への帳尻合わせのために粛清の犠牲者の数が変動するような時代である。生きるために時局を読んで作風を変化させるにせよ、自分が信奉する芸術に殉じて餓死するにせよ、各々の芸術家が選んだ生き方はそれぞれにとって切実な選択だったのだと想像される。
 
 いくつかの例を挙げよう。本書に繰り返し登場するユダヤ系女性詩人のヴェーラ・インベルは、その都度の政治情勢に応じてカメレオンのように態度を変えた保守主義者の代表格である。

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岩佐なを『パンと、』(思潮社、2015年) 画像:amazonより


 2016年に入ってはやくも1ヶ月が経とうとしているのに、思い出されるのは何故か去年のことばかり。年明け最初のエントリにふさわしくない内容であるのは承知の上で、昨年読んで印象に残った本について書きたい。2015年は、川田絢音の『雁の世』と岩佐なをの『パンと、』に感銘を受けた。奇しくも2冊ともベテラン詩人による思潮社刊行の詩集である(川田は1940年生まれ、岩佐は1954年生まれ)。

 川田についてはまた別の機会に譲るとして、今回は岩佐なをの『パンと、』についての所感を記しておこうと思う。
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