フランス留学目指した元ニート

フランスの美術大学で学部3年目の終わりに受ける試験Diplome National Art Plastiqueは、訳すると「国家造形資格」。日本でいう学士卒業に相当する。DNAPの合否を審査するのは学内の教員だけではない。政府から指名派遣された人間が来校し担当にあたる。いっぽう、受験資格は学生側に前もって言い渡される。受験を受けるのにこれまでの作品発表などが吟味され、一定のレベルに達していないと判断されれば、たとえ単位や成績に問題がなくても受験資格が与えられない。また受験資格は取得しても、作品の方向性が学校で扱っている分野とかみ合わない、学校にいても意味がないとされた場合は、たとえ試験に合格しても修士として翌年から同じ学校に在籍することができない学生もいる。そしてこれらの判断はいかなる場合にも覆されることはない。
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2011年になって、そろそろ貯金がなくなってきた。
2月の半ばごろにパリ中心地の某高級日本食料理店でウェイトレスの仕事をはじめた。

ところが、うまくやろうと思えば思うほどうまくいかない。料理と人が行き来する中で頭の中は真っ白。いろんな失敗をやらかし、オーナーにもこっぴどく注意されるのだが、それによって改善されるどころか、益々おかしなことをするようになる。結局1ヶ月でやめたが、その間仕事の疲れで予備校にも碌に行っていなかった。3月、久しぶりに顔を出すと、みんな志望校を決めたり、書類準備をする時期になっていた。 » すべて読む
フランス長期留学の為のビザ書類集めに関して書かれたブログは、検索エンジンをかければ膨大な量が見つかる。その何れにも共通しているのは、やたら煩雑ということ。当たり前といえばそうかもしれない。外国人が簡単に別の土地に住み着いたら何をやらかすか分らないもんな。自国民ですら分らないのに。 
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私はとても寒がりだ。フランスは日本に比べ緯度が高いので、住むならなるべく暖かいところにしようと思った。それで南部にある学校を受験した。今思えばとても賢くなかったのだが、私は1校しか受験しなかったのだ。結果は先に言ってしまうが不合格だった。でもそれが自分の力不足のせいだけであるとは、今でも認めることができない。
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とても久しぶりに書きます。

11月初旬は下界では秋だが、でも、山はもう冬だ。
つまり小屋締めの時期になるなので勤務終了、下山することになる。冬の間は温泉旅館やスキーロッジで働いた。肉体的にも精神的にもきつく一度体調を崩し2週間ほど寝込んだこともあったが、無事に勤務を終了することができた。

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さて、コラージュに感激てしまったのはいいとして。だからといってそれを続けるために本当に山女、いや山爺に転職するのはちょっとちがう、というか本末転倒。ここはあくまで「通過点」。次にすすまなきゃ。と、一応ちゃんと考えていた。

ここで、「読むこと」について書こうと思う。

大学に入ってから、だんだん文が読めなくなっていた。別段無学の人になったわけではない。たとえばひとつの単語があればそれを別の言葉でいいかえたり、知っている外国語であればそれに相当する日本語をあてたりするという、ポイント作業はできるのだが、分からくなっていったのはもっと大きな括りでの部分だ。仮に大意を理解できたとしても、それを記憶にとどめたり、考えたり、現実と関連付けたりすることができなくなっていた。そこでつまずいているうちに単語レベルでの理解も落ちてくる。とはいっても学生のときはそういう訳にはゆかず、どちらかというと入学してから学業が大変になるというタイプの学校だったので、参考文献や課題図書を読む機会は少ないほうではなかったと思う。けれど、何度も読みなおさなければ理解できなかった。


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幼少より絵画に親しみ、芸術系の高等学校卒業生のはしくれとして、いちおう山にはスケッチブックや鉛筆、絵の具なども持ってきていた。沢を隔てた山頂が見渡せ、下界(都会)ではめずらしい高山植物も豊富な環境だったので、休憩時間には切り株、地ベタにすわり写生なぞしていた。

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2007年の7月下旬から11月初頭まで、途中下山した4日間をのぞいて山で過ごした。
仕事内容は客食、掃除、小屋受付など。気温は真夏の日中でも20℃台、夜は氷点下になることもあり、8月にも関わらず霜焼けになった。10月に入ると沢から引っ張ってくるホースの水が凍結しはじめる。雪も降って時たま積もった。電力供給は自家発電のみ。お湯は火で沸かすしかなく、風呂は週に1度。それでも3日位放っておくと頭が痒くなってくるので、「水のいらないシャンプー」を頭皮にもみこみ冷水をぶっかけてごまかした。電気をつける(発電する)のは朝夕の食事の時間帯だけだが客の入らない日はまったくつけない。大体そんな日は台風などの悪天候で誰も登山なんかしないような日なので、失業したスタッフは暗闇の屋内に引きこもる。以上が端折りに端折った小屋生活の概観である。


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みなさん初めまして。これを読んでいる方もエンソフのメンバーの方も殆どが「初めまして」なのでとにかく初めまして。私は2009年よりフランスに住んでおり、パリから電車で40分の郊外・セルジーという町の美術学校に通っています。

これから書こうとしていることは留学をめざすようになってから今に至るまでの経緯ですが、正直ブログで自分の過去を曝け出すのはちょっとどうかと思っていました。ただ、もし記事を書く目的が私にあるとすれば、現在の視点から過去を思い返した際、その節々の場所的・社会的・経済的環境etcが自分の思考・行動・表現にどんな影響を与えていたか、そして現在や未来のそれとどのように繋がるのかを把握することはフランスで美大生をしている以上、重要なんじゃろなと考えた点にあります。

この記事は、だから何よりも自分の為に書こうと思うのです。
とは言っても、多くの方に読んでいただければ幸いです。


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