回花歌




---『回花歌』梗概---
舞台は2000年代、とある大陸の西方にある街。"私"と家族は牛肉麺屋を営んでいる。街は、かつて核実験が行なわれていた土地のすぐ近くにあり、その影響を暗に示すような出来事が、家族の周囲ではいろいろと起きている。しかし、"私"と家族を含め、街の人々は核や原子力に対する正しい知識や情報を持たず、故に恐れを抱くこともない。彼らは宗教と自身の信仰心を大事にし、家族や親族、友達を大事にして生きている。「何かがおかしい」と感じられるような状況下でも、人々の生活は変わらずに続いてゆく。『回花歌』は、そんな物語である。
 


1---朝より続く)

2--- "噂"


 店のメニューは牛肉麺のみで、他には馬鈴薯や胡瓜の惣菜をつくる日があったりなかったりする。注文は前払制だ。長い間、陽射しにさらされて、すっかり色褪せてしまったレジスターが出入口の脇にあり、そこには父がいつも立っていた。
 父は客から代金を受け取ると、麺の太さや牛肉の量などの細かい注文を聞き、金額や数量をレジスターに打ち込む。するとレジスターからチーンと大きな音が鳴り、下からは勢いよく抽斗が、上からはドッドッドッドッと低い音をたててレシートが出てくる。父は代金を抽斗に入れたあとレシートを切り、細かい注文内容をレシートの余白に書きつけて客に渡す。客は、それを店奥にある厨房前のカウンターで作業をするライヒに渡す。すると、ライヒは注文内容を大声で読みあげる。

「細麺、牛肉多め!」
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『回花歌』---梗概

舞台は2000年代、とある大陸の西方にある街。"私"と家族は牛肉麺屋を営んでいる。街は、かつて核実験が行なわれていた土地のすぐ近くにあり、その影響を暗に示すような出来事が、家族の周囲ではいろいろと起きている。しかし、"私"と家族を含め、街の人々は核や原子力に対する正しい知識や情報を持たず、故に恐れを抱くこともない。彼らは宗教と自身の信仰心を大事にし、家族や親族、友達を大事にして生きている。「何かがおかしい」と感じられるような状況下でも、人々の生活は変わらずに続いてゆく。『回花歌』は、そんな物語である。
 


1---朝


 朝の5時になると母屋から店の厨房へと向かい、その隅にひざまずいて母とともに礼拝を行った。父や兄、いとこのライヒは、叔父の運転する農業用トラクターに乗ってモスクへ向かった。これから夜が明けるなんて思えないほど外は暗かったが、そのうちに朝が来ることは間違いなく、しばらくするとモスクへ出向いた者たちが戻ってきたので、私達家族は開店の準備にとりかかった。
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