Foto&Critic

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田代一倫『ウルルンド』(発行:KULA、2017年)


あわいに漂う写真

 9月に刊行された田代一倫の写真集『ウルルンド』(KULA、2017年)を折に触れては眺めている。「ウルルンド」とは竹島/独島の近くに浮かぶ韓国の離島。ハングルで「울릉도」、漢字名で「鬱陵島」と書く。
 田代は今年の2月と5月にこの小さな島を訪れ、数日間の滞在中に出会った現地の人々を撮影した。前作の写真集『はまゆりの頃に 三陸、福島 2011~2013年』(里山社、2013年)が2年間に撮影期間が及ぶ長期のシリーズで、453点もの肖像写真を収録した大作だったことを思えば、「ウルルンド」をめぐる2つの取材旅行はごくささやかな規模である。B5変形72頁の小冊子という体裁をとった本書は、旅のささやかさを仕様においても体現していると言えよう。
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RPS-08/12/2015
photo: 東間 嶺



“わたしは、写真集を視覚的な小説だと思っている”
“今日、写真は、(進化した、視覚的な)言語の一つである”
 


◆ Teun van der Heijden(トゥーン・ファン・デル・ハイデン)氏は、その晩、何度かそうしたニュアンスの言葉を強調した。8日の火曜日、午後19時から東向島のRPSで行われた公開講義、『本の速度とリズム』での発言だった。

◆ 《小説》、と断定したことに、わたしは少し驚いた。小説のような写真でもなく、写真のような小説でもない、視覚的な小説。それらをはっきりと同一視する人間には、会ったことが無かったからだ(アラーキーの『写真小説』とかは、あれはブンガクだから)。

◆ スクリーンに映し出された自身のテクストをゆっくりと読み上げるファン・デル・ハイデンvan der Heijden氏の確信に満ちた口調は、啓示的な響きをもって、会場の聴衆を惹きつけていた。
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【画像】INSTANT LAB UNIVERSAL本体(撮影:東間 嶺、動画含め以下全て同じ)

INSTANT LAB UNIVERSAL

◆ 一週間ほど前、作品制作用として、『THE IMPOSSIBLE PROJECT』が販売する世界初のデジアナ変換デバイスである『INSTANT LAB UNIVERSAL』(以下ILU)を購入した。iPhoneやAndroid端末に読み込んだデジタルイメージをインスタントフィルムとして現像することができる、いわば小型現像ユニットだ。

◆ 『THE IMPOSSIBLE PROJECT』は、2008年に経営破綻したポラロイド社のインスタントカメラ用フィルムの再生を試みるプロジェクトだとのことで、ポ社の元技術者が閉鎖されたオランダ工場をリースし、かつての商品を再現しようと生産を行っている。日本での販売は、『THE IMPOSSIBLE PROJECT TOKYO』で、わたしは、今回そこへILUを注文した。
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画像:後ろから新津保建秀、安瀬英雄、藤崎了一の展覧会ポストカード(撮影:東間 嶺)



GROUP EXHIBITION
「記録と記憶|transcripts/memories」
■参加作家   
新津保建秀 | 田附勝×KYOTARO|吉楽洋平|安瀬英雄 |藤崎了一
 ■会場   
KANA KAWANISHI GALLERY
東京都港区南麻布3-9-11
 ■会期              
2015年 03月27日(金)〜 05月02日(土) 
12:00-19:00  |  日・月・祝祭日休廊


※ 上記展覧会データ引用:KANA KAWANISHI GALLERY 
http://www.kanakawanishi.com/#!news/c21kq
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凡例

この連載2014年にÉcole Nationale Supérieure d’Arts de Paris-Cergy
西田杏祐子が提出したマスター論文に加筆訂正を加え、自己邦訳したものである。原題および邦題は下記の通り。各回の引用文献はその都度、末尾に記す。

(原題) "La fabrique du passé : réflexions sur le photographique" 
(邦題) 『過去を造る―写真的なものについての考察』



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大変ご無沙汰しておりました。

2014年冬に大学へ提出したメモワール(マスター論文)の日本語バージョンを書いていきたいと思います。論題は下記のようなものです。

(邦訳) 『過去を造る―写真的なものについての考察』
(原題) "La fabrique du passé : réflexions sur le photographique"

"Fabrique" という言葉は工場あるいは小さな工房のことを示しますが、製造や拵えることといった意味もあります。しかし製造だとインダストリアルなニュアンスが出てしまいどうもしっくり来ない部分もあり、悩んだ末に動詞にしました。このような感じなので、日本語タイトルは別のものに変更されるかもしれませんが暫定的にこうしておきます。

内容については、そのまま翻訳というわけではなくブログ形式に合わせたり、加筆訂正したりする部分もありますが、大筋に変更はありません。
 
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カラー表紙(枠)
"Witchenkare" (撮影:東間 嶺、以下すべて同じ)

告知

◆ 既に公式でもお知らせしていますが、今年も、特殊で小型な文芸創作誌『Witchenkare(ウィッチンケア)』のvol.6に『ウィー・アー・ピーピング』というテクストを寄稿しました。1日に正式発行され、Amazonで取り扱いが開始されています。(運が良ければ!)全国の主要書店でも遭遇→お買い求め頂けるでしょう。昨年発行のvol.5同様、時間的、精神的、金銭的な余裕がある方は、是非ご一読下さい。


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#04 Topophilia(fuzkue / フヅクエ)
 

Flickr Photo album:【Topophilia(fuzkue / フヅクエ)】 
https://www.flickr.com/photos/108767864@N04/sets/72157650880029199/
場所:【fuzkue/フヅクエ】 http://fuzkue.com/
撮影日:2015年02月24日PM



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#01 " LIFE feat / 牛丼の滝(Cup noodle Seafood )" 


Flickr Photo album
LIFE feat/牛丼の滝 】---
流れ(落ち)るのは我が涙、ではなく牛丼、生卵、味噌汁、お新香、チーズ、カップ麺、そば、焼きそば、など--- 
https://www.flickr.com/photos/108767864@N04/sets/72157648592726737/


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【Suite Habana (March. 2006 / 2007】
"Buena Vista (H / Habana Libre)" Habana, Cuba



…実在する人々の人生の中の1日を通して映し出される、ある都市の24時間。

登場人物たちは、荒廃した国で希望を失わず生き延びる自分自身の日常をカメラの前で展開しています。偶然に選ばれたとはいえ、みんな同じように人生のゆがみを感じ、それでも、夢を手放さず、自分を再確認しながら、押しつぶされそうな現実を凌ぐ精神力を保とうと闘っているのです。

今や貧困と老朽化に支配されている美しい都市は、終わらない”偉大な夢”の酸に侵食された空間であり、そこでは、個人のささやかな夢で活路を開くしかありません。

《ハバナからの手紙》:マリオ・ピエドラ
初出:【永遠のハバナ】パンフレット 
 

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