在野研究のススメ

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↑『ビオストーリー』、第4号、2005・11、18p

 吉野裕子(1916‐2008)。ヒロコ、旧姓赤池。民俗学者。50歳頃、習っていた日本舞踊の扇に関心を持ち、独学で調査を始める。以降、在野で日本の蛇信仰や陰陽五行などを研究し、発表を続ける。主著に『扇――「性」と古代信仰の秘密を物語る「扇」の謎――』(学生社、1970)、『陰陽五行からみた日本の祭』(弘文堂、1978)、『蛇――日本の蛇信仰――』(法政大学出版局、1979)。その他多数。
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↑『エリック・ホッファー・ブック――情熱的な精神の軌跡』[以下EHBと略記]、作品社、2003。

 エリック・ホッファー Eric Hoffer(1902‐1983)。アメリカの社会哲学者。正規の学校教育を一切受けないまま18歳で天涯孤独の身になり、様々な職を転々としたのち、40歳近くから著作活動に入る。〈沖仲士の哲学者〉として知られる。著書に『大衆運動』(The True Believer, 1950)、『現代という時代の気質』(The Temper of Our Time, 1967)、『波止場日記』(Woring and Thinking on the Waterfront, 1968)。その他多数。

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      ↑『東京朝日新聞』1921年11月9日。

 野村隈畔(1884-1921)。読みはワイハン、本名は善兵衛。哲学者。小学校卒業以降、独学により東洋哲学・西洋哲学を学び、フランスの哲学者ベルクソンの解説書を書く。最期は、自身の哲学に共鳴する女学生と情死。著書に『ベルグソンと現代思潮』(大同館、1914)、『自我批判の哲学』(大同館書店、1919)、『現代の哲学及哲学者』(京文社、1921)、『孤独の行者』(京文社、1922)。その他多数。


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 ↑『三島由紀夫vs東大全共闘 1969-2000』(藤原書店、2000)の251頁。


 小阪修平(1947~2007)。哲学者・思想家。1979年から執筆活動をはじめ、哲学・思想を中心に幅広く評論活動を展開。難解な哲学を平易に解説することに定評があり、哲学ブームのきっかけを作った。著書に『イラスト西洋哲学史』(宝島社、1984)、『非在の海――三島由紀夫と戦後社会のニヒリズム』(河出書房新社、1988)、『市民社会と理念の解体』(彩流社、1994)。『考える技法――小論文で頭がやわらかくなる』(PHP新書、2005)。その他多数。
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 ポスドク、アカハラ、ワープア、ネオリベ…。既にステレオタイプ化してしまった諸々の前提を確認する必要はもうないだろう。一言、大学は現在危機的だ、といえばいい。そして、もし、二の句として次ぐべきことがあるとしたら、「廃墟と化した大学を嘆くことではなく、廃墟のあとに、いかなる未来図を描くのか」、これで十分だ(藤田尚志「条件付きの大学――フランスにおける哲学と大学」、西山雄二編『哲学と大学』收、未来社、2009)。嘆き悲しみ、他人のせいにするのはもうコリゴリだ。今から始めようとする私の拙い書き物は、この未来図のためのささやかな測量データを提供することを目指している。

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