在野研究のススメ

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↑『赤松啓介民俗学選集』第五巻、岩田重則編、明石書店、2000。

 赤松啓介(1909-2000)。民俗学者。本名は栗山一夫。「夜這い」の研究で有名。柳田民俗学の「常民」概念に対抗した「非常民」をキーワードに、差別や性に関する村落共同体の習慣を独自のフィールドワークを頼りにして探究した。主著は『非常民の民族文化』(明石書店、1986)、『夜這いの民俗学』(明石書店、1994)。その他多数。

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↑『An album――赤土にひそむ文化の謎に挑む 旧石器文化研究の幕開けは一人の青年のふとした疑問から始まった』、群馬県立歴史博物館、2001。

 相沢忠洋(1926-1991)。タダヒロ。 考古学者。群馬県の赤城山麓周辺で納豆売りをして生計を立てながら、遺跡・遺物の発掘生活を続ける。新田郡笠懸村岩宿にて、日本で最初の旧石器時代の遺跡を発見し、日本の旧石器時代研究の扉を開く。主著に『「岩宿」の発見』(講談社、1969)、『赤土への執念』(佼成出版社、1980)。 
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フォイエルバッハ
(↑宇都宮芳明『フォイエルバッハ』、清水書院、1983)

 ルートヴィッヒ・A・フォイエルバッハ(Ludwig Andreas Feuerbach,1804‐1872)。宗教哲学者。ベルリン大学でヘーゲル哲学を学び、そこからヘーゲル批判を徹底して自然を基礎とする宗教的人間学を唱える。カール・マルクスに大きな影響を与えた。主著は『死と不死にかんする思想』(Gedanken über Tod und Unsterblichkeit, 1830)、『キリスト教の本質』(Das Wesen des Christenthums, 1841)。『神統記』(Theogonie nach den Quellen des klassischen, hebräischen und christlichen Altertums, 1857)。その他多数。
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↑三浦つとむ『この直言を敢えてする』、こぶし書房、1996。

 三浦つとむ(1911-1989)。哲学者・言語学者。本人は「科学者」の呼称を好んだ。本名は三浦二郎。マルクス・エンゲルスを独学で研究し、弁証法への理解を深める。戦後、スターリンの言語学を批判した時枝誠記を支持し、時枝言語学を批判的に継承する。主著に『哲学入門』(真善美社、1948)、『弁証法はどういう科学か』(講談社、1955)、『日本語はどういう言語か』(講談社、1956)、『認識と言語の理論』(勁草書房、1967-1972)。その他多数。
 
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水木しげる『猫楠』186p
↑水木しげる『猫楠』(角川文庫、1996)の186頁。

 南方熊楠(1867‐1941)。民俗学者・博物学者。粘菌研究者としても有名。あらゆる分野の学問を渉猟した知の巨人として興味の赴くまま広範囲に研究活動をした。「歩く百科事典」との異名をもつ。その領域横断的思考は「南方曼荼羅」として図式化され、今日、諸学問を総合した思想家としても高く評価される。主著は『南方随筆』(岡書院、1926)、『十二支考』(平凡社、1972)など。

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エリゼ・ルクリュ
↑ルクリュ『世界文化地球体系』(石川三四郎訳、有光社、1943)。

 エリゼ・ルクリュ(Élisée Reclus, 1830-1905)。地理学者。19世紀最大の地理学者の一人に数えられる一方で、地理学的知見に基づくアナーキズム理論も構築し、自身も積極的に社会主義運動に参加する。自然(地球)と人間の調和的統一という発想で、包括的な人文地理学を展開。主著に『新世界地理』(Nouvelle geographie universelle, 1876-1894)、『進化・革命・アナーキズムの理念』(L'évolution, la révolution et l'idéal anarchique, 1897)、『地人論』(L'homme et la Terre, 1905-1908)。その他多数。
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谷川健一
↑大江修編『魂の民俗学――谷川健一の思想』、冨山房インターナショナル、2006。

 谷川健一(1921‐2013)。民俗学者。詩人の谷川雁は弟。柳田国男や折口信夫の古典民俗学の批判的読み直しから、民俗学とは神と人間と動物のコミュニケーションの学であると再定義。それまで顧みられることのなかった辺境地などの日本の負の遺産を広範囲に渡って研究する。地名の研究などでも有名。主著は『魔の系譜』(紀伊國屋書店、1971)、『青銅の神の足跡』(集英社、1979)、『常世論』(平凡社、1983)、『南島文学発生論』(思潮社、1991)。その他多数。 
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↑『三沢勝衛先生』、三沢先生記念文庫発起人会、1965。

 三沢勝衛(1885‐1937)。カツエ。地理学者。長野県に生まれ、地元小中学校で教員をつとめるかたわら、信州の土地を対象に地理学の研究に着手する。エコロジー思想を先取りしたような独自の「風土論」を展開した。主著に『郷土地理の観方』(古今書院、1931)、『新地理教育論』(古今書院、1937)。
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↑Philippe Ariès “Un Historien du dimanche”, Seil, 1981.

 フィリップ・アリエスPhilippe Ariès(1914‐1984)。フランスの歴史学者。家族、子供、死といったテーマを独特な視点から扱い、「近代」の特異性を歴史的に考察した。アナール学派を独自に受け継ぎ、「心性の歴史」を研究対象にした。主著に、『〈子供〉の誕生』(L'enfant et la vie familiale sous l'Ancien régime, 1960)、『死を前にした人間』(L'Homme devant la mort, 1977)、『図説 死の文化史』(Images de l'homme devant la mort, 1983)。その他多数。
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↑『昭和を駆けた考古学者原田大六 ――伊都国にロマンを求めた男 』、糸島市立伊都国歴史博物館、2010。

 原田大六(1917‐1985)。考古学者。日本一の大銅鏡が見つかった平原遺跡の発掘、調査、復元などを手がける。官学アカデミシャンに対する容赦ない攻撃から「ケンカ大六」の名で知られる。主著に『日本古墳文化――奴国王の環境』(東大出版会、1954)、『実在した神話――発掘された平原弥生古墳』(学生社、1966)、『邪馬台国論争』(三一書房、1969)、『日本国家の起源』(三一書房、1975)。その他多数。


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