【幸福否定の研究とは?】

勉強するために机に向かおうとすると、掃除などの他の事をしたくなったり、娯楽に耽りたくなる。
自分の進歩に関係する事は、実行することが難しく、“時間潰し”は何時間でも苦もなくできてしまう。自らを“幸福にしよう”、"進歩、成長させよう”と思う反面、“幸福”や“進歩”から遠ざける行動をとってしまう、人間の心のしくみに関する研究の紹介。


私が、幸福否定の研究をはじめてから現時点で6年半、治療法として取り入れてから
3年近く経っています。最初は治療法の一環以上のものではなかったのですが、
最近、もう一つ大きな問題がでてきました。
人間特有の現象である"幸福否定”を考える上で、 
"人間とは何か?”という大袈裟な問題が浮上してきたのです。
“幸福を否定”するという事は、裏に“幸福を求める”という働きがあるはずです。
他の動物には見られないこの特質が、精神疾患や心因性疾患を考える上で
とても重要になります。

“向上心” という言葉がありますが、
“もっと良い生活をしたい” という一般的なものから、
“生きがいを求めたい” などの、高度な欲求、

更には
"宇宙はどういうものなのか”
"人間はどういうものなのか”
"何のために生きているのか”

など、他の動物にはみられない高度な探究に関心を持つ人もいます。

また、芸術家、哲学者、研究者など、一部の人ですが、
生活に関する事は興味がなく、"真理の探究”というようなゴールが見えない
難問に人生を賭けて延々と取り組む人達もいます。

なぜ、ここを考えなければいけないかというと、"向上心”が強くなるほど、
また質が高くなるほど、精神疾患や心因性の症状が出る割合が高くなるからです。

 ・幸福否定を治す事はできるのか?(治療法という観点)
 ・幸福否定というしくみをもっている人間とは?
 (比較対象として、動物との違いなどが明確になる)
の二つのテーマを追う事になりますが、

①私が"幸福否定”に興味を持つことになった経緯
②笠原氏の"幸福否定"の発見と心理療法の確立までの経緯
③幸福否定の治療(笠原氏の心理療法について)

~心因性疾患の治療法という観点

④現在の精神医療の問題点
⑤人間と動物の違いとは?(パイオニアワーク、芸術活動など)

~研究を通じて見えてきた人間像

という順番で紹介していきたいと思います。
(続く)

注:読み辛くなるので引用を避けていますが、内容は笠原氏の著書や、セッション記録から抜粋しています。