sept. 07. 2019 "記憶の幽霊 / Ghost of Memory" Tokorozawa, Saitama
告知/報告=『記憶の幽霊:ここで、視ている/聴いている…東京/所沢/そして福島』〈引込線/放射線〉
■ 既に会期中なのですが、埼玉県の所沢駅すぐそばの廃ビルで9月8日-10月14日のあいだ開催されている〈引込線/放射線〉というアート・プロジェクト内の自主企画展に、新作のインスタレーションを展示しています。
■ 美術作家であったり、日本におけるアートのオルタナティブなシーンに関心がある人なら〈引込線/放射線〉という名前の、前半部分にはおそらく聞き覚えがあることでしょう。『引込線』は十年ほど前に戸谷成雄氏を中心にビエンナーレ形式ではじまった自主企画展で、わたしも二年前に一度、そのサテライト・イベントに作品を提供したことがあります(参照:引込線2017:『行為/態度の時間に置かれる写真』)。今回は、実行委員兼出展作家として正式に参加することになりました。
〈引込線/放射線〉
https://hikikomisen-hoshasen.com/index.html
第一期会場:第19北斗ビル開催期間:9月8日(日) - 10月14日(月・祝日)※火・水・木・休み開催時間:金・土 12:00 - 20:00/日・月 12:00 - 18:00入場:無料アクセス:埼玉県所沢市久米 久米603-8
西武新宿線 西武池袋線 所沢駅東口徒歩3分
Twitter→https://twitter.com/hikikomisen
■ 出展作のタイトルは『記憶の幽霊:ここで、視ている/聴いている…東京/所沢/そして福島』。撮りためたまま未整理だった警戒区域訪問時の写真と、祖父母が保管していた戦中からのフィルム・プリント、同地でのフィールド・レコーディングや岡田利規の小説朗読を基に作った音響、そして友人の写真家から提供してもらった「未使用写真」を、廃ビルという展示空間の環境に組み込んだ作品です。写真はそれぞれスライドでベランダ側の窓際壁面および天井に投影し、音響は別にスピーカーで響かせています。光の状態によって見え方が変わるため、「見栄え」、という点では日が落ちてからがもっとも良くなります。
テキスト、写真、音響などさまざまな要素を入れ込んだ構成になっているため、機材の調達も含めて制作は難航しましたが、最終的には、ここ最近わたしが思い描いてきたことが(能力的に可能な範囲ではあるものの)殆ど表せた、と思います。会期はそこそこ長いので、興味を惹かれた方は是非足をお運び下されば幸いです。
以下、会場にも貼ってある「仕様書」を掲示しておきます。
さらなるご参考にお読みください。
『記憶の幽霊』ーー作品仕様書
*覚書*a: 既に解体が決まり、封鎖されたビルという空間。新たに提示されたプロジェクトの〈放射線〉(震災=福島)という冠。この作品は、それら所与の条件に、わたしと他者の記憶、イメージ、音声を「不自然に」モンタージュすることで、新たなランド/サウンド・スケープ(記憶の幽霊)を作り出す試みである。b: スライドの一方は警戒区域内にある母の実家へ戻るたびに撮影したものが再構成され、もう片方は友人の写真家が私的に撮影し、公表せずにいたものを再構成している。c: 音響はベーストラック上に都内各所と警戒区域内で録音されたフィールド・レコーディングが重ねられ、主に岡田利規から引用したテキストが読み上げられる。線量計と山中の歩行音が基底のリズムとなる。
*構成*スライド二種(ループ)、音響(ループ)、引用テキスト(透明シート印字)、ファウンド・フォト(フィルム・プリント、アルバム)、北斗ビル内残存物(テーブル、置物、廃材、空き缶、破損サッシ等)各種。
*スライド/写真*スライド① 双葉、福島:2014/05-11, 05-12ー2015/11-11, 11-12ー2017/4-19, 4-20ー2018/11-17(撮影/東間嶺)
スライド② GIRL、PIGEON、ROOM:(撮影、提供/よしだあゆみ)ファウンド・フォト:(1930-1960年代双葉郡、他、撮影者不詳)
*使用(朗読/掲示)テキスト*1-9:(岡田利規『問題の解決』、10-11:(岡田利規『わたしの場所の複数』)12:(岡田利規『ゾウガメのソニックライフ』)13-16:(岡田利規『わたしたちは無傷な別人である』)17-18:(和合亮一『詩の礫』)19:(Wikipedia)20-21:(作家テキスト)
*音響(約18分ループ)*朗読:今井飛鳥 ASUKA Imai、東間嶺 RAY Thomaベーストラック制作:森崇博 TAKAHIRO Moriフィールドレコーディング、構成:東間嶺 RAY ThomaSound Cloud 『記憶の幽霊/GHOST OF MEMORY_Tokyo, Tokorozawa and FUKUSHIMA』