平成21年の夏、わたしはひどいうつ状態に陥っていた。当時、江戸川区東葛西で一人暮らしをしていたのだが、5日ほど布団から起き上がれず、仕方なく地下鉄東西線葛西駅前の心療内科に駆け込んだ。不眠を訴えたところ、ここは凄い藪医者で、いきなりロヒプノールという強い睡眠薬が処方されて、飲んで寝たら翌日左半身がしびれていて、驚いた。こりゃだめだと思って、精神科でカウンセリングを受けている友人に相談したところ、千葉県船橋にある病院を紹介してもらった。そこに通うようになってだいぶ良くなったのだが、平成23年の春に職場が大手町に変わり、夏ごろから再度うつが強くなり、希死念慮(要は脳内の具合によって死にたくなる)なども出てきて、とうとう休職するにいたった。
わが国では4人に一人がうつに罹患するというとんでもない時代になったが、高度成長期~バブル経済を経て、1990年代から不況にありつつも、生活はなんとかできるという状況で、しかし営利企業の多くは言うまでもなく、政治も経済成長という呪縛から逃れられずにいる昨今、うつ病が多くなるというのは実にわかりやすい。そういう点で、わたしも流行り病に罹ったような気分にもなるのだが、実際、このうつというのはやはり経験してみないとわからない辛い不全感がある。しかし、まあきちんと休養をとって、薬を飲めば、運動不足で体重はかなり増えるものの、徐々に改善していくのも確かだ。いったん良くなっても、うつがぶり返すこともあるので、油断はできないのだが。
ロハスやエコという一見新しく見えるキーワードも当然のことながら、資本制下の社会では、あっという間に新しい消費の対象になってしまい、利潤の追求を行い続けるメカニズムに社会が縛られ続ける限り、わが国のうつ病患者はどんどん増えていく、いな、増えざるを得ないであろう。いずれ誰もが死んでしまうとはいえ、せめて生きている間は楽しく朗らかに身を振りたいが、これがなかなか難しい。人生の困難さは、誰しも抱えているものだろうが、シュリンクする、つまり衰退する国に生きていると、それがさらに個々人の精神にのしかかってくる。というようなことを延々と考えていると、もちろん鬱々としてくるわけで、身近な小さくはあるが確かな幸福を見つけてはよろこんで、あまり物事を深刻に捉えないように努めることで、すこしは生きやすくなるかもしれない。もちろん、いずれ死んでしまうのだが・・・(中島義道風に)。
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ウツノウミカラ、キカンセヨ! (0)
- 2012年04月08日 11:27
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