【SBS】新宿文藝シンジケート読書会、第70回概要
1.日時:2017年01月28日(土)18時〜20時2.場所:マイスペース新宿区役所横店2号室3.テーマ:山田昌弘『モテる構造 ──男と女の社会学 (ちくま新書) 』を読む。※ 参考図書:『非モテの品格』、※ 参考資料:『漫画ルポ 中年童貞 (リイドカフェコミックス) 』
4.概説:本郷保長:(@HNGYSNG)レジュメ→https://drive.google.com/file/d/0B5Z85xuBi5K3dmM1SmhacFNDbjA/view?pageId=109661363927442511422
◆ 上掲の通り、2017年1月28日(土)の夜に、第71回新宿文藝シンジケート読書会が行われました。2017年の初回に選ばれたのは山田昌弘『モテる構造』。選書は本郷保長(@HNGYSNG)です。
◆ 2016年9月の第67回で選ばれた『男がつらいよ』への批判的な応答の意味もある『モテる構造』。著者の山田は、〈パラサイト・シングル〉や〈婚活〉などを造語した人物として有名な社会学者で、現在は中央大学の教授を務めています。家族やジェンダーの領域を専門にする山田は、既存の研究やデータの紹介によって「男らしさ、女らしさ」をはじめとする人間社会の性役割規範、ジェンダー・バイアスが絶対的なものではなく文化相対的なものであることを示し、さらに、それに従うことが人々に経済的、性的な利益、および個々人の人格的な安定(アイデンティティ)を与えている状態を、即ち〈モテる構造〉だとします。
◆ 男も女も、〈らしさ〉の規範に沿ったふるまいをする人間が〈モテる〉し、逸脱する人間は忌避される。日本はあらゆるランキングが示す通り世界的にみても男女間格差の著しい国ですが、不公平な性別役割分業を望んでいるのは他ならぬわたしたち自身である、というわけです。山田は、その構造を認識した上で、〈らしさ〉に対して生じる感情や性差の意識を否定するのではなく、不利益を無くすことが重要であると主張します。
◆ 選書した本郷は、参考図書として挙げた杉田俊介『非モテの品格』で主題となる男性自身のミサンドリー(男性性嫌悪)なども例示しながら、〈モテる構造〉から排除されたモテない非正規中年の自分にとって、いかにこの問題が切実かを語りました。加えて、〈モテる構造〉とは能力主義の無批判な肯定であり、障害者差別、相模原事件の犯人も持っていた優生思想(無能力者は死ね)にもつながるものだと批判し、無くすことは不可能でも乗り越える努力は続けるべきだ、と。
◆ やや極端な本郷の主張を肯定するかはともかく、激しめの問題提起に対する参加者の発言も活発で、『男がつらいよ』に引き続き、ジェンダーをめぐるあれこれが、わたしたちにとって根本的なイシューであることを感じる回でした。
※ いつも通り、レジュメのオンライン・リンクを貼っておきますので、ご興味持たれた方は是非御覧ください。
https://drive.google.com/file/d/0B5Z85xuBi5K3dmM1SmhacFNDbjA/view?pageId=109661363927442511422