【SBS】新宿文藝シンジケート読書会、第61回概要
1.日時: 2016年3月26日(土) 18時〜20時
2.場所: アキバ会議室⇒ http://akibakaigi.com/
3.テーマ:~在野研究者総選挙 2016春の陣~! 荒木優太『これからのエリック・ホッファーのために 在野研究者の生と心得』(東京書籍、2016)を読む。 ※ 発表は荒木優太(@arishima_takeo)自身が行った。
4.備考:FBイベントページ⇒ https://www.facebook.com/events/557860537730123/
 


◆ 上掲の通り、3月26日土曜日18時から御徒町の『アキバ会議室』にてSBS第61回読書会が行われました。選書は、エン-ソフの寄稿者でもある荒木が2月末に東京書籍から出版した初の単著『これからのエリック・ホッファーのために---在野研究者の生と心得』。本人のレクチャーに加え、『~在野研究者総選挙 2016春の陣~!』なる企画も実施されました。

◆ 詳細は当日ニコ生配信された部分を編集した上掲の動画とレジュメを参照して下さい(※ レジュメの大部分はワイプとして動画内に表示されます)。


在野研究者総選挙2016春の陣_ページ_1

◆ 3月回はいつもの歌舞伎町『ルノアール』ではなく、御徒町にある『アキバ会議室』というフリースペースを利用し、参加者枠を二十人程度まで増やした拡大版として開催。会社員から主婦、フリーター、院生、作家、編集者、文学/研究者、地下アイドル評論家、高校教師、画家、ミュージシャンまで、まさに〈在野〉で活動する様々な人々がさまざまな経路で集合し、一冊の本に関してサマザマに言葉を交わしあう盛会となりました。選書された、『これからのエリック・ホッファーのために』の母体となったエン-ソフの連載企画、『在野研究のススメ』の書籍化を発案してくださった編集者の方も駆けつけ、諸々の裏話なども開陳されたのでした。

◆ 後半の質疑では、『これからのエリック・ホッファーのために』のキーとなる〈在野〉という言葉をめぐる定義の問題や、著者(荒木)本人の〈在野〉的研究スタンスに対するシリアスな問いかけなども発されましたが、その答えは荒木の今後の活度で示されてゆくことでしょう(多分)。是非ご注目下さい!


荒木ホッファー集合写真
当日記念撮影(写真、東間 嶺)


(番外ネタバレ)【~在野研究者総選挙 2016 春の陣~】 結果発表!


◆ 動画を観て頂ければお分かりになる通り、『~在野研究者総選挙 2016 春の陣~』を制したのは夭折の異彩哲学者、情死男の野村隈畔でした。そのあまりに異色な経歴ゆえに当初から勝利が予想されていましたが、下馬評通りの結果に。

◆  参加者から、「ろくでなしだから」「働きたくないから」などの理由で支持を得た隈畔ですが、【永劫無限の世界に旅立つ。これ哲人の希望であり歓喜である】(出典:コトバンク)という、なんとも中二臭い言葉を遺して逝った彼には憤慨ものの賞賛かもしれません。

◆ しかしながら、荒木がエントリで書いたように、隈畔自身の活動が現在の〈在野〉に与える示唆は大きく、この総選挙荒木の本をキッカケに再注目されることになれば喜ばしいところです。



隈畔はぶつくさ文句を書きつつも、ベルクソン論の処女作以降、コンスタントに著作を出し続けていた。著作は10を超える。実際の物書き期間が十年なかったことを考えれば、多作の部類に入るだろう。そして、その多くは現在国会図書館のデジタルアーカイブとして(図書館利用者カードをもっていれば)誰でも閲覧することができる。このエントリを書く際も利用させてもらった。


 隈畔自身はこのような事態など想定していなかっただろうが、インターネットさえあれば、福島であれ何処であれ、田舎の若き在野研究者にも自分の著作を届けることができる。労働嫌いだった隈畔であるが、著作を形として残しておくことにより、アカデミシャンの様々な著作と同じ仕方で取り扱いとしてはフラットに、検索され、画面表示される。あれほど「ゴロゴロ」に拘っていた著者の作物さえも、物(ブツ)として残すという一点を踏むことで、予期せぬかたちで後世に伝わる。物的形式は侮れない。

荒木優太【在野研究のススメvol.02 : 野村隈畔】