さえき近影【Portrait:Depressed patients(Saeki Utubo Kazuhiko)】
(撮影・編集/東間 嶺、以下すべて同じ)
ウツノウミカラ、キカンセヨ!censored 再開にあたって
掲題の通り、中断していたうつ日記の 公開を2012年9月分より再開することにした。理由は二つあって、ひとつは志半ばで中断していたこの日記を読みものとして完結させたいという気持ちがあること、ふたつめはこれを再開することで、すこしでも精神疾患(うつ病など)をお持ちの読者の方々の慰安・勇気付けになればと願うからである。ちなみに筆者は2009年の夏に発病して以来、約5年にわたって現在もなおうつ病の治療中である。
以前、この日記が中断された理由をいま明らかにすると、筆者の家族から、無断で各人についての記述を公開することはプライバシーの侵害にあたると抗議されたことにあり、現在よりも格段に症状が重かったわたしは、その声にうまく応じてコンテンツの軌道修正を図る余裕がなかったことにある。
というわけで、今回タイトルに"censored" と加えて記しているのは、文字通り(自己)検閲済みという意味であり、検閲の方法は前述の該当部分を泣く泣く削除したり、伏せ字にしたことによる。筆者の 家族や親族、友人らについての生々しい描写が十全にできないことは残念だが、一億総インターネット接続時代の代償であることをご賢察頂ければ幸いである。
それでは、お楽しみください。
さえき 拝
(2012年11月)
11月1日(無職95日目)朝9時起床。最近毎朝7時に目覚ましをかけているのだが、どうしても7時に起きられず往生している。薬のせいなのか、意志が弱いのか、その両方なのか。どう考えても分からない。ひとつ出来ることは早寝の習慣をつけて、7時に起きても眠くないようにすることだろう。難しいだろうが、トライしていきたい。起床してすぐ洗濯物を自室のベランダで干す。ささいな家事でもひとつずつきちんとこなせるようになるのが目標である。実家にいると*があれこれ手助けしてくれるので、家事もいろいろできるが、世田谷に戻って自発的に家事をこなせるようにする必要がある。これも簡単なようでいて、いま気力・意欲の低いわたしにはなかなかハードルが高いのである。やはり減薬が必要だろうと思う。午後2時過ぎから散歩に出る。狭山ヶ丘駅のATMで*の口座に今月分の家賃を振り込んでから、徒歩で東狭山ヶ丘駅にある古本屋ほんだらけへ。夏からずっとジャズCDの棚にある チェット・ベイカー『シングス・アンド・プレイズ』を600円で買う。とても良いアルバムなので自室で通して4回聴く。あすは品川へ通院。かえり自宅に寄って冬物をいくつか見繕って実家に戻ろうかと思案している。
11月2日(無職96日目)朝8時起床。朝食のあと、9時過ぎに外出。西武新宿線と山手線を乗り継いで品川の病院に行く。最近効きすぎで眠いので、アナフラニールの処方を減らしてもらう。高田馬場のシェイキーズに寄って昼食。その後、高田馬場から下り電車に乗り、新所沢まで。新所沢から徒歩で4、50分ほど歩いて帰宅。
11月3日(無職97日目)朝8時起床。朝食のあと、9時過ぎに外出。西武新宿線と池袋線、丸の内線を乗り継いで東間くん、Mさんと文京区後楽の日中学院に行く。本郷三丁目にあるMさん宅でのんびりしたあと、徒歩で1時間ほど歩き、新大久保の韓国料理屋で夕食。スンプドゥプチゲとトッポギを食し、韓国焼酎を飲む。高田馬場から西武新宿線に乗り、日付が変わる前に実家に帰った。
11月4日(無職98日目)
朝9時起床。わたしの衣服がダンボールに入れられ到着。昨日の疲れが残っており、午後3時間ほど昼寝をしてしまう。何をするともなく暮れた一日。村上春樹『ダンス・ダンス・ダンス』(講談社)を読み直す。
11月5日(無職99日目)朝9時起床。午後、散歩(武蔵藤沢駅~実家)。のんびりとした一日だった。村上春樹『ダンス・ダンス・ダンス』(講談社)は下巻を読む。
11月6日(無職100日目)朝9時起床。恐ろしいほどやる気がなく、散歩もしなかった。遅い昼食のあと、居間のソファに寝転びながら、村上春樹『ダン ス・ダンス・ダンス』下巻を読み進める。ええっ、××を殺したのって×××君だったの、と驚く(もう10年くらい読んでいないので、ほとんど筋を忘れているのです)。午後6時過ぎに電車に乗り、新宿へ。西武新宿駅の脇でとんこつラーメンを腹に収め、二丁目のピットインで菊地成孔×大谷能生 デュオ。ヒップホップだった。わたしは二人にはヒップホップは似合わないと思う。大谷さんはとくに朗読だけやってればかっこいいのになあ、と思いつつ、二 人とも次もやるとのこと。次を観に行くかどうかはしばし判断保留したい。
11月7日(無職101日目)朝9時起床。どうしても朝7時に起きられない。一度起きても必ずもう一度寝る。つまり二度寝してしまう。またたとえ9時に起床したとしても、朝ごはんを食べるまでに1時間くらいかかったりする。とてもあいまいな起床。このままではいかん、と思うは思う。午後、 新所沢のリブロで木田元『ハイデガー拾い読み』(新潮文庫)を買い、駅前のドトールで読む。1時間半ほどで店を出て、徒歩で帰宅。新所沢の駅前から我が家 (実家)までは約40分ほどかかるので、本来目標としている散歩(一時間)にはちと足りないのである。改善してゆきたい。
11月8日(無職102日目)
11時起床。午後、自室の掃除と散歩(武蔵藤沢駅~自宅)。木田元『ハイデガー拾い読み』(新潮文庫)を読む。
11月9日(無職103日目)
10時起床。午後より電車で花小金井へ。東久留米在住のFさんの車で回転寿司へ行き昼食。その後、大判焼きを買って、F邸を訪問。夕飯はつけめん。午後11時近くまで雑談に興じた上、実家まで送っていただく。感謝。
11月10日(無職104日目)
9時起床。午後、散歩。むかし通っていた小学校のあたりを歩き回る。帰宅してから夕飯の豚汁を作った。
11月11日(無職105日目)
7時半起床。午前中に散歩。帰宅し、昼食のラーメンを作って**と食べる。午後、久しぶりに昼寝してしまう。夜ごはんはおでんとアジフライだった。
11月12日(無職106日目)
9時起床。午後、散歩。新所沢のBOOK・OFFから、所沢市北中を経て、東狭山ヶ丘のほんだらけまで行く。BOOK・OFFからほんだらけまでは徒歩で約70分ほどかかった。アート・ペッパーの1951年の録音が500円で売っていたので、そのCDを買う。帰宅して入浴、**と食事。食後はアート・ペッパーを聴きながらのんびり過ごした。
11月13日(無職107日目)
9時起床。10時過ぎに、*が北区王子に住む*の家へ出かける。わたしはひとり洗濯物を畳んだり、風呂を洗ったり、鶏肉をフライパンで焼いたり、食器を洗ったりして過ごした。家事って意外と大変で疲れるものだ。これを毎日平然とこなす*はまことに偉大である と思う。夕食は*と二人きり。気まずくはないが、なんとなく疲れる。わたしは*を恐れているのかなぁ(いい歳をして恐れているも無いものだが)。夜、 友人に電話してみるが、都合が悪いようで電話がつながらず、さびしい。早く死んでしまいたいと強く思ったりするけれど、人生、先が長そう。飛び降り自殺などで一気に人生を終わらせられれば楽なのに、と感じるが、やはり自殺はできないだろう。自殺に踏みきる勇気すら無い。そしてこういうことを書いて、同情を引こうとしているのではないだろうか。なんていやらしい、つまらない価値の無い人間なのだろうか、わたしは。こんなことを書いても、頭の具合が良くなる訳ではないが、書かずにはいられないので書いたのである。
11月14日(無職108日目)
11時起床。**がいないのを良いことに惰眠を貪ってしまった。午後、散歩(自宅~西武フラワーヒルを往 復)。発作的にコンビニでアイスクリームとあんぱんを食べてしまう。後悔はしていないが、せっかく散歩してもこれでは意味がない。というか、そもそもわた しは減量する気があるのだろうか(;´Д`) *の家から帰ってきた*と、仕事から帰ってきた*と三人で7時過ぎから夕食。なんだかだらしない一日を送ってしまった。たまには良いが、もう少し気合いを入れて日々を送らねばと思う。
11月15日(無職109日目)
10時起床。夕刻、徒歩で自宅から新所沢の駅まで行く。6時過ぎから新所沢在住のNさんと東口のつぼ八で飲酒。2時間半ほど飲んでから西口に行き、ジャズバー・スワンへ。チャールズ・ミンガス、コルトレーン、ソニー・ロリンズなどを聴きながら0時近くまで飲酒しつつ歓談。やはりジャズ話のできる友人は貴重だと感じながら、楽しい時間を過ごした。
11月16日(無職110日目)
9時起床。10時半ころ、西武電車に乗り、高田馬場で山手線に乗り換え、正午過ぎに品川のメンタルクリニックに着いた。二時間程待ってから、診察。水泳を始めようかと思っている旨告げると、一日30分~1時間程度の有酸素運動が良いですよと主治医に言われた。診察のあと、山手線で渋谷に出て、井の頭線に乗り換え、約1ヶ月ぶりに自宅にかえった。国民年金の手続きのため、年金手帳を探すが見当たらずしょんぼりする。2時間ほど自宅に滞在し、明大前駅から、吉祥寺~国分寺~東村山と電車を乗り継ぎ実家に戻った。一日中移動していたような気がする。毎朝7時に起き、部屋の掃除をし、ご飯を作って食べ、散歩を一時間する生活が送れなければ、世田谷に戻ることはできない。今のところ実行できているのは、散歩一時間だけなのだ。先は長い、のかもしれない。移動中は、*の書斎からかり出した田辺元『死の哲学』(岩波文庫)を読もうとしたが、観念哲学なので実に読みにくく、心のなかでヒイヒイ言っていたら電車の中で、病院の待合室で、うとうとうとうとしてしまい、結局何を読んだのかさっぱり頭に残っていないのだった。
11月17日(無職111日目)9時起床。午後、新所沢の駅前から所沢駅前まで歩く。およそ20分ほどでプロぺ通り(所沢のメインストリート)に達しあまりの近さに拍子抜けする。自宅から1時間ほど歩けば、所沢の駅前に着くことを初めて知った。所沢の駅近くで雨に降られる。持ち歩いていた折り畳み傘が役立った。プロぺ通りのバンダレコードに十数年ぶりに足を運び、15日に新所沢でNさんからもらった10パーセントオフチケットで、チャールズ・ミンガス『The Black Saint and The Sinner Lady』とマハヴィシュヌ・オーケストラ『Birds of Fire』を買う(両方とも中古)。午後4時過ぎに花小金井の駅前で、東久留米在住のFさんに車で拾って頂く。そのままFさんのお宅にお邪魔し、深夜零時近くまで歓談した上(BGMは前述の2 枚やFさんのレコードライブラリーからマイルス、ビーフハート、テルミンのラウンジアルバム)、実家まで送って頂いた(甘えすぎではなかろうか…)。この アクティブさを鑑みるに、わたしのうつ病はかなり改善してきたと言ってよさそうだ。地道に暮らしていきたい。
11月18日(無職112日目)
9時起床。午後、外出。西武新宿線、山手線、東京モノレールを乗り継ぎ、(東京)流通センターに4時過ぎ に着く。愛知からはるばる上京しているH氏の作品『音について その1ー語りの音楽 フィールドレコーディング』(2CD付き)を1000円で買う。アラザルなど他のブースもすこし見るが、他には何も買わず、高円寺へ 移動。スタジオでのバンド練習前のKさんと酒を飲む。高円寺の駅前から環七に沿って西武新宿線の野方駅まで歩く。30分ほどかかった。野 方から電車(各停田無行き)に乗り、上石神井で(急行本川越行きに)乗り換え、実家に戻る。移動中はハイデガー『存在と時間1』(中公クラシックス)の解説「ハイデガーの生涯と『存在と時間』の思想」(渡邊二郎)を読んだ。
11月19日(無職113日目)
9時起床。寒い一日。午後、昼寝をしてしまう。目覚めたら、3時を回っていたorz 新所沢駅から自宅まで歩く。早く歩いたり、ゆっくり歩いたりを交互にしたら、ずいぶんとくたびれた。そうやってからだに負荷をかけるのが良いらしい。夕飯の鯖をコンロで焼いたところ、上手く焼けたのでうれしかった。しかし、きょうはだらしない一日だった。昼寝し過ぎである。あすはきちんと起きているようにしたい。
11月20日(無職114日目)
9時起床。ふとんを干したり、部屋をそうじしたり、食器を洗ったり小まめに動けて良かった。午後、彩の森入間公園から自宅まで歩く。1時間とすこしかかった。夕飯の一品として、豚汁を作った。ちょっと味が薄かったが、まあまあ旨くできたのでヨシとしたい。夕飯のあと、録画したエヴァ破とらららクラシック(盲人ピアニスト、辻井くん特集)をテレビで観た。辻井くんはピアノのタッチが素晴らしかった。
11月21日(無職115日目)9時起床。毛布を干したり、風呂をそうじしたり、食器を洗ったり昨日同様小まめに動けて良かった。午後1 時過ぎから、外出。新宿ミラノ1で3:20からのエヴァQ観る。併映が、特撮博物館で観た『巨神兵 東京にあらわる』で微苦笑。エヴァQは完結編ではない ので感想が難しいが、「庵野総カントク、商売上手いな~。っていうか相変わらずオタクをディスって儲ける商法だなぁ」と感じたのは確かなので記しておく。 まぁ、完結編も観に行くだろう。それにしてもエヴァの 世界観は相変わらずディストピアでとても好き。それを味わいたくて観に行ったようなところはある。映画のあと、新宿駅前で一服してから、 Twitterで知り合った音楽マニアのOさんに会い、やんばるで二時間ほど飲む。その後、タワーレコードに行って彼が薦めてくれた フランク・オーシャン『channel orange』を買う。Oさんはaikoのニューアルバムを買っていた。Oさんと別れ、ひとり とんこつラーメンを腹に収めて、西武新宿駅から下り電車に乗って実家に帰る。10:00過ぎには帰宅。早く自宅に戻りたいが、だんだん実家にからだが慣れてきて、複雑な気分。
11月22日(無職116日目)
10時半起床。いくら公平に見ても、寝過ぎだ。9時間は寝ている。まるで小学校低学年の少年のようだ。あの頃から何かが変 わったかと問われるとあまり変わっていないような気もするが、まぁ、女体を知ったり、多少世間知がついたぐらいだろう。しか し、女体を知るとは下品だなぁ。否、下品になるには世間からの影響があるので、次のように繰り、述べたい。
午後1時、外出。歩いて新所沢駅まで行き、駅前のドトールコーヒーでアイスコーヒーを啜りながらハイデガー『存在と時間1』(中公クラシックス)を読む。が、衝立の向こうの男女三人組 がパートナーとのセックスレス問題について、恥じらいもせず大声で延々と語り合っており、読書の妨げとなったことを記しておきたい。ハイデガーも目下のセックスレス問題にはたじたじとなっていた。現存在の存在の存在様態を実存的・実存論的範疇において直ちに暴露しなければならぬ昨今なのである!いや、う ちなんてセックスレスになってから三年以上経ってますから!!半年なんてまだまだ大したことないよ!!!と言いたかったがぐっとこらえたのは世界=内=存 在の現存在のモラルのせいである。
さて、4時過ぎにドトールを出て、PARCO(公園っていう意味だよな。イタリア語か?)の三階にある バンダレコードで中古CDを観る。昨日タワーレコードで買い物をしたこともあり、何かCDを買いたかったのだ。アンニュイあるいは憂鬱な生を吹き飛ばすため消費にアディクションするという、前世紀に特徴的な文化からはずいぶん前に離脱したはずなのだが(ウソ)、好きなものに金を遣うのはやはり楽しいみたい だ(ホント)。あれこれ言いつつも街でグラマラスでセクシーな女性を見かけると思わず頬がゆるんでしまうような感じだろうか。ゆるんでいるのはおのれの財布の紐なのだが。結局、厳正なる脳内円卓会議を挙行の末、デイブ・ブルーベック・カルテット『デイブ・ディグス・ディズニー』(500 円)、ローズマリー・クルーニー『ジャズ・シンガー』(300円)の二枚が見事選出され、日本銀行券千円券一枚が商品二点および釣り銭200円(百円硬貨 二枚)に無事交換されたのであった。
薄暗い道路をまた40分ほど歩いて、実家に戻る。そして風呂に入って、また無駄遣いをしてしまったのではないかという激しく迫り来る疑念に駆られながら、戦利品のCDを聴いた。良かった。やはりジャズは人類が世界に誇る偉大な遺産である、ということも再認識できたので、 きょうという日も決してわたくしにとって無駄ではなかったのである!と強く繰り返し言い聞かせないといけないような、妙な不安感に時折襲われた一日であっ た。まったく人生とは難儀なことであるものよのう、越後屋、いいえお代官様こそ、とひとりごつのもいい加減にしたいものである。
11月23日(無職117日目)
9時起床。午後、*夫婦と*が遊びにくる。わたしは4時過ぎから一時間ほど散歩。夜はマイケル・ギルモア『心臓を貫かれて』(文藝春秋)を読み直し始めた。ただし、ほとんど筋を忘れているが。父から上野で開催中の「中国王朝の至宝」展の招待券をもらう。あす朝から観に行くため、早めに床に着いた。
11月24日(無職118日目)
7時起床。8時半過ぎに実家を出て、池袋経由山手線で上野へ。国立博物館で「中国王朝の至宝」展および 「出雲」展を観る。常設展も軽く流して正午前には移動。山手線で渋谷に出て、井の頭線に乗り換え。昼食は自宅の近所のインド料理屋で済ませ、郵便物を回収し、少しネットなどする。5時過ぎに自宅を出て、明大前駅から京王線の上りで新宿へ。歌舞伎町の貸し会議室で、読書会。読書会 のあとはいつもの激安居酒屋で飲食および歓談した。西武新宿駅から下り電車に乗り、零時半帰宅@実家。良く電車で移動した一日だった。
11月25日(無職119日目)
7時半起床。手塚治虫『日本発狂』(講談社手塚治虫全集)を18年ぶりに再読。午後、1時間弱、散歩(狭山市立中央図書館~自宅)。狭山市駅前のタリーズと散歩のあと、自室で『柄谷行人中上健次全対話』(講談社文芸文庫)を読んだ。
11月26日(無職120日目)
7時半起床。朝から冷たい雨が降っており、何事にもやる気がでない。毛布にくるまリ、午前中かかって『柄谷行人中上健次全対話』(講談社文芸文庫)を読み終える。午後、三時間ほど昼寝してしまう。昼寝のあとから松本清張『事故 別冊黒い画集1』(文春文庫)を読み始める。夜、玉ねぎとさつまいもの入った味噌汁を作った。
11月27日(無職121日目)
8時頃起床。朝食を摂ったあとうだうだして11時近くになってようやく外出。西武新宿線、山手線、京王線、世田谷線を乗り継ぎ、13時過ぎに世田谷年金事務所着。年金手帳の再発行などで約1時間かかる。事務手続きを終え、世田谷線で三軒茶屋に出て、田園都市線に乗り換え、渋谷へ。渋谷のみずほ銀行で、健康保険の振込を済ませ、こんどは山手線に乗り新宿へ。新宿につくと小腹が空いていたので、歌舞伎町のはなまるうどんに入り、かけうどんとコロッケを食べた。その後、一番街入り口にあるドトールで松本清張『陸行水行 別冊黒い画集2』(文春 文庫)を読む。読んでいると仕事帰りのTさん(ウェブデザイナー)からメールが入り、いま新宿にいるとのこと。東口にいたようなので、ドトールまで直接来てもらい、コーヒーを啜りながら3時間ほど歓談。6時半近くになり、歌舞伎町一番街の入り口で東間くん、荒木さん と合流し、新宿西口の博多料理屋に入っていろいろと話をした。少し遅れて7時過ぎにSさん(作家)がやってきて、創作の話やら文学の話やら思想の話やらいろいろな話をしているとあっという間に11時近くになってしまったので、お開きに。わたしはひとり西武新宿駅から下り電車に乗り、午前1時前に実家に帰 宅。長い一日だったが、日頃の散歩の成果もあってか、あまりくたびれなかったので良かった。
11月28日(無職122日目)11時起床。朝4時くらいまで松本清張を読んでいたのでなかなか起きられなかった。自業自得である。夕方、散歩がてらほんだらけ所沢店まで行く。清張『死の発送』(角川文庫・200円)『紅い白描』(角川文庫・200円)『形影 菊池寛と佐佐木茂索』(文春文庫・150円)を買う。帰宅してからは『江戸川乱歩に愛をこめて』(光文社文庫)を読む。
11月29日(無職123日目)11時半起床。寝過ぎである。腹を切ってお詫びしたい。しかし誰もゆるしてくれなさそうなので腹を切るのはやめよう。夜はさんまを焼き、おでんを作った。エライ!誰も誉めてくれないので、自分で自分を誉めるしかないのである。わびしいものである。夕食後に清張『死の発送』(角川文庫)を読了。面白かったが、わたしは時刻表のトリックが苦手であると改めて思った。
11月30日(無職124日目)
10時起床。正午過ぎに外出。西武新宿線、山手線を乗り継ぎ、品川の精神科へ。抗うつ剤の量が減った。午後4時過ぎ、寒風の中、花小金井にて西武線を下車。Fさんのお宅へ。マイルス・デイヴィスやわたしが10年以上前に作ったジャズのコンピレーションCDなど聴きつつ、歓談。あっという間に11時を過ぎ、またもや実家まで車で送って頂く。日付変更前に帰宅。感謝。
(12月へ続く)