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さえき近影(撮影、編集:東間 嶺、以下すべて同じ)


ウツノウミカラ、キカンセヨ!censored 再開にあたって  

掲題の通り、中断していたうつ日記の公開を2012年9月分より再開することにした。理由は二つあって、ひとつは志半ばで中断していたこの日記を読みものとして完結させたいという気持ちがあること、ふたつめはこれを再開することで、すこしでも精神疾患(うつ病など)をお持ちの読者の方々の慰安・勇気付けになればと願うからである。ちなみに筆者は2009年の夏に発病して以来、約5年にわたって現在もなおうつ病の治療中である。

以前、この日記が中断された理由をいま明らかにすると、筆者の家族から、無断で各人についての記述を公開することはプライバシーの侵害にあたると抗議されたことにあり、現在よりも格段に症状が重かったわたしは、その声にうまく応じてコンテンツの軌道修正を図る余裕がなかったことにある。

というわけで、今回タイトルに"censored"と加えて記しているのは、文字通り(自己)検閲済みという意味であり、検閲の方法は前述の該当部分を泣く泣く削除したり、伏せ字にしたことによる。筆者の家族や親族、友人らについての生々しい描写が十全にできないことは残念だが、一億総インターネット接続時代の代償であることをご賢察頂ければ幸いである。

それでは、お楽しみください。

2014年 残暑 さえき 拝

 


(2012年9月中旬~下旬)



9月10日(無職44日目)

8時起床。船橋の病院に電話すると、紹介状が無いと診察できないと断られたが、ずっと預けっぱなしの傷病給付金の請求書を受け取りにいく。さすがに実家からは二時間かかり、八つ時に自宅に帰宅した。二週間も空けていたのでなんだか他人の家のような気がする。とりあえず妻の洗濯物を畳んで、ぼんやりとラジオを聴いた。つのだ☆ひろがDJのあとは、丹下桜が出てきたりしてやはりNHK-FMは凄いなぁ、自由だなぁと思う。何が良いってやはり、バッハの作品がしょっちゅうかかっていることじゃないかな。バッハを聴くと荒れる心が鎮まります。
 


9月11日(無職45日目)

4時頃就寝、8時起床。久しぶりの自宅に緊張し、うまく眠れなかった(笑うところ)。枕が合わないというか、まぁ、そういう感じで良く眠れなかった。昼から夕方にかけて寝たり起きたりを繰り返す。いま小田急線 梅ヶ丘駅前の東秀でレモンハイを啜っているのだが…(もうすぐ午後7時である)。レモンハイはいま二杯目である。これ以上は飲めない(手持ちの金が無いので)。

やることそのイチ。夕刻、持株の処理について会社(元雇用先)に電話。それからーーやることそのニーー着替えをして、近所の梅ヶ丘図書館へ行き、延滞しまくりの図書5点を返却し、新たに5点を借り出す。*は今頃一生懸命仕事をしているであろうに、まったく呑気なものである。結構な身分である。そんな自分を謗りたいが、それすら虚しいという感じが漂ってきて、いますぐ何もかも投げ出して南の国に逃げたいが、具体的に 逃避する先が思い浮かぶ訳でもなく、このような駄文を書き連ねている次第である(あぁ、まったく無意味な文章だ)。夜は『ニーチェはこう考えた』(ちくまプリマー新書)を読む。なかなか面白い本。
 


9月12日(無職46日目)

8時起床。朝ごはんの後、くすりを飲んだらちっともやる気が出なくて、ジジェクを読みながら、寝たり起きたりをくりかえしてしまう。やはりくすりの力は大きい。品川の病院に行って、朝のくすりを減らせるかどうか相談しよう。アナフラニールの副作用が、けっこうキツいんじゃないかという気がしてきた。

洗濯物は畳んだ、部屋の掃除もした、夕飯を作って食べた。その一つ一つを誉めてやりたいが、いや、誉めてやろう。わたしは、社会に適応して、ごくふつうに生きられるようになりたい。今からでも間に合うだろうか。分からない。散歩を約1時間。自宅~井の頭線東松原駅~小田急線梅ヶ丘駅~豪徳寺駅~自宅というルート。少しすっきりして帰宅し、入浴。風呂を出たあとの、冷たい鳩麦茶がうまい。 
 


9月13日(無職47日目)

9時起床。朝ごはんの後、くすりを飲んだらちっともやる気が出なくて、斎藤環を読みながら、寝たり起きたりをくりかえしてしまう。やはりく すりの力は大きい。やる気が出なくて、病院には行けなかった。アナフラニールの副作用は、けっこうキツいらしい(参照:岩波明『うつ病』ちくま新書)。

洗濯物を畳んだあと、散歩を約1時間。昨日と同じ自宅~井の頭線東松原駅~小田急線梅ヶ丘駅~豪徳寺駅~自宅というルート。帰宅してから夕飯を作る元気はなく、コンビニで買った冷やし中華を食べた。
 


9月14日(無職48日目)

9月14日。8時起床。朝ごはんの後、井上章一を読みながら、1時間ほど寝てしまう。が、起きて気合いを入れ、全力で病院へ。アナフラニールの飲み方が変わる。折角家を出たんだから、上野に行こうと思いつく。実家に帰ったときに**からもらった契丹(きったん)展の招待券を財布に入れておいたのだ。上野公園の入り口 のレストランでビーフカレーと生ビールを腹に収めたあと、炎天下、会場の藝大美術館をめざして歩く。とても暑く、金曜の昼間だというのに公園内には無数の人がいて、歩き回ったり喋ったり、木陰で休んだりしていた。 

契丹展は思ったよりこじんまりとした展覧会だった。いまから約1000年くらい前に今のモンゴルやシナのあった場所を支配した騎馬民族のプリンセスの遺品(装飾品や皿、壺)などが二階にわたって展示されていた。1000年前のものとは思えない繊細かつ優美な意匠に驚かされる。いったん帰宅してシャワーを浴びて休憩してから、世田谷線で三軒茶屋へ。Nさん、A女史と手羽先をかじりながら飲酒。楽しく活動的な一日だった。
 


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9月15日(無職49日目)

昼寝2時間。夕刻より世田谷区若林方面へ外出。Nさん邸で、Nさん、A女史、T氏、わたしの4人でホットケー キパーティーをする。昨日動きすぎたせいか、何度もぼんやりしてしまう。ホットケーキと三軒茶屋の西友で買ったサラダとビールでほろ酔いとなり、まったり 11時頃まで過ごす。その後、世田谷線に乗って帰宅。石川輝吉『ニーチェはこう考えた』(ちくまプリマー新書)を読み終えてから寝る。
 


9月16日(無職50日目)

昼過ぎから、**の弓道大会を見物しに明治神宮へ行く。遅れて**夫婦も来る。雨が降ったり止んだりをくりかえす怪しい天気でやや蒸し暑い。新宿へ行く、表参道へ行く*、**夫婦と別れて、ひとり帰路に着く。寝室に冷房を入れ涼んでいるといつの間にか寝てしまう。わたしはなんとなく外へ出て、小一時間散歩をする。散歩から戻って入浴、のち就寝。
 


9月17日(無職51日目)

32回目の誕生日である。昼過ぎから、要町へ。要町の中華料理屋でKさんと昼食。その後、雨が降ったり止んだりする怪しい天気の下、K邸にていろいろな洋楽(ジャズ中心)を一緒に聴く。17時過ぎに、要町の駅で解散し、その後帰宅。機嫌の悪い*から「*く*ね」と言われつつも、TwitterやFacebook、mixiなどで寄せられたバースデイメッセージの数々に返信。複雑な気分の誕生日だった。
 


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9月18日(無職52日目)

午後3時過ぎに東間くんと新宿駅で待ち合わせて、特撮博物館@都現代美術館に向かうが、美術館近くできょうは休館日と判明し、ふたりで新宿へ戻る。旧コマ劇場脇で時間をつぶして、歌舞伎町の入り口にある湖南料理の店に入る。ここで2時間半ほど飲み食いした。

湖南料理店を出て、いつも読書会のあと打ち上げをしている激安酒場へ移る。東間くんの後輩二人とKさんが遅れてやってきて、さらにHさんがやってきた。6人で23時過ぎまで飲み食いし、解散。

いろいろな人と、いろいろな話をして、楽しかったが、すこしくたびれた。でも遅れて来たバースデイパーティーだと思えば良いんだろうな。
 


9月19日(無職53日目)

昼前に世田谷線に乗って、三軒茶屋にある世田谷警察署の運転免許更新所へ行き、講習受講&免許更新。3時過ぎに帰宅しシャワーを浴びて、寝室で涼んでいると、寝てしまう。目が覚めると、8時を回っており、いったい何時間寝ていたのだろ う…考えたくもない…。免許更新に行ったのはえらいが、やはりちょっと寝過ぎが過ぎるだろうという感は否めない一日であった。
 


9月20日(無職54日目)

一日中寝ていた。夜、すこし散歩。
 


9月21日(無職55日目)

精神科と皮膚科へ行く。夜、仙川のいわし料理屋で漫画家のY先生と二時間ばかり飲み食いした。
 


9月22日(無職56日目)

東間くんと特撮博物館@都現代美術館。ひどく混んでいた。ひとのつくりしものが、小さな空間に圧縮されて展示されており、鑑賞するのにひどく集中力を要しくたびれた。午後6時から新宿で読書会(第20回目)。その後、歌舞伎町の激安酒場で飲み会。
 


9月23日(無職57日目)
 
ほぼ記憶がない。寝ていたようです。
 


9月24日(無職58日目)

ジジェクを読んでは寝て、起きて、ジジェクを読んでは寝て、起きてをくりかえした。気づくと午後7時orz 本くらい寝ずに読めるようになりたい。
 


9月25日(無職59日目)

ジジェクを読んでは寝て、起きて、ジジェクを読んでは寝て、起きてをくりかえした。気づくと午後6時orz 大島弓子『ロストハウス』(白泉社文庫)読了。
 


9月26日(無職60日目)

大島弓子のマンガを一日中読んでいた。『ダリアの帯』、『ロングロングケーキ』、『つるばらつるばら』の三冊を読了。
 


9月27日(無職61日目)

大島弓子のマンガを一日中読んでいた。『夏の終わりのト短調』『サバの秋の夜長』の2冊を読了。
 


9月28日(無職62日目)

品川の精神科に行った。主治医曰く、仕事を退職してから(今年の7月から)、本格的な療養に入ったと考えるべ きで、やる気がなくとも、あと三ヶ月~半年のスパンでできることをひとつでも増やすようにしていきましょう、と。焦りは禁物だそう。

精神科に行ったあと、渋谷のハローワークに寄り、求人登録を済ませた。そろそろ再就職についても考えねばならないだろう。すこしずつ前向きにやっていきたい。
 


9月29日(無職63日目)

夕刻よりすみだトリフォニーホールで開催された菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラールのコンサート(具象の時代)に行った。同ホールは音が良いことで知られているが、ペペのサウンドには少し似合わない気がした。わたしの座席のせいかもしれないが、音の分離が良すぎて、音楽が軽く聴こえてしまうように思われた。しかし、わたしがここ10年くらいで一番愛好しているグループなので、生で聴けるのは嬉しかった。
 


9月30日(無職64日目)

体重80.6kg。朝ごはんは納豆と玄米ご飯。昼ごはんを近所のインド料理屋で食べた。マンゴーラッシーが甘くておいしかった。カレーはキーマとマトンをナンで食べた。 

昼ごはんのあと、帰宅してシャワーを浴び、涼しい寝室で寝転んでいると案の定、睡魔に誘われて甘美な夢の世界へ。エロティックな要素のある冒険活劇のようで面白い夢をみられたのは良かった。が、目覚めると午後6時、いったい何時間昼寝していたのだろうorz 

夕飯は近所のファミリーマートで買った中華丼とナタデココ入りのヨーグルトゼリーを食べた。**は外出先で買ってきたとおぼしきパンとプリンを食べていた。最近食のバランスが片寄りがちだと思う。改善したいのだが、なかなか難しそうである。
 

(つづく)