連載【芸術とスタンダール症候群】とは?
筆者が【幸福否定の研究】を続ける上で問題意識として浮上してきた、「芸術の本質とは何か?」という問いを探る試み。『スタンダール症候群』を芸術鑑賞時の幸福否定の反応として扱った。
連載は以下のように推移した。
1. 現状の成果…龍安寺の石庭の配置を解く
2. スタンダール症候群の説明
3. スタンダール症候群が出る作品
4. スタンダール症候群が出やすい条件
5. 芸術の本質とは何か?
用語について
* 用語説明*反応:抵抗に直面した時に出現する一過性の症状。例えば勉強しようとすると眠くなる、頭痛がする、など。抵抗:幸福否定理論で使う"抵抗"は通常の嫌な事に対する"抵抗"ではなく、許容範囲を超える幸福に対する抵抗という意味で使われている。
はじめに---追補編について
前回でいったん最終回とした連載【芸術とスタンダール症候群】では、笠原敏雄氏の幸福否定理論に基づく心理療法から出発し、"反応"を追いかけるという指標を使いながら、
芸術の本質に迫るという試みの過程を書きました。
その結果、最終回までに、"多機能性"、"同時成立"といった要素を有する芸術作品鑑賞時に強い"反応"が出るのではないか?
との仮説を立てるに至りました。
今回はその追補編として、当連載の一番重要な部分である、第9回で書いた内容に対して、動画も使って詳しく説明していきたいと思います。