2018年05月


荒木優太『貧しい出版者』
荒木優太『貧しい出版者』表紙/写真:東間嶺(以下すべて同じ)
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連載【芸術とスタンダール症候群】とは?

筆者が【幸福否定の研究】を続ける上で問題意識として浮上してきた、「芸術の本質とは何か?」という問いを探る試み。『スタンダール症候群』を芸術鑑賞時の幸福否定の反応として扱い、龍安寺の石庭をサンプルとして扱う。

連載の流れは以下のようになる。

 1. 現状の成果…龍安寺の石庭の配置を解く
 2. スタンダール症候群の説明
 3. スタンダール症候群が出る作品
 4. スタンダール症候群が出やすい条件
 5. 芸術の本質とは何か?




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 ※注。新刊『仮説的偶然文学論』(月曜社)がとにかく売れてほしい。 そういうわけで、意気込みを示すために、ディズニー&ピクサー作『リメンバー・ミー』に関する評論を書き下ろした。あまり偶然と関係ないと思われるだろうが、「誤ること/謝ること」に関しては関係しなくもないだろうと思っている。読んで面白かったら新刊の方はこの3倍は面白いので是非買ってほしい。面白くなくても本は面白いので是非買ってほしい。是非買ってほしい。どうぞよろしく。

仮説的偶然文学論 (哲学への扉)
荒木優太
月曜社 2018-05-24


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 ※注。新刊『仮説的偶然文学論』(月曜社)がとにかく売れてほしい。 そういうわけで、意気込みを示すために、ディズニー&ピクサー作『リメンバー・ミー』に関する評論を書き下ろした。あまり偶然と関係ないと思われるだろうが、「誤ること/謝ること」に関しては関係しなくもないだろうと思っている。読んで面白かったら新刊の方はこの3倍は面白いので是非買ってほしい。面白くなくても本は面白いので是非買ってほしい。是非買ってほしい。どうぞよろしく。

仮説的偶然文学論 (哲学への扉)
荒木優太
月曜社 2018-05-24


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 月曜社から『仮説的偶然文学論――〈触れ‐合うこと〉の主題系』が、今月発売された。「哲学の扉」という廉価本新シリーズの最初の一冊で、 2000円+税という、内容からすると極めてお求めやすい価格での提供になった。以下、小見出しふくめた詳細な目次を紹介する。

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サンイシドロのゲートで、バラの花を売る男


前編から続く)

"「あんな奴らに金をやっているのか」"


今の会社に入社して最初の一週間は研修だった。会社のことだけじゃなく、ティフアナでの運転や電話のこともいろいろ教えてもらわないといけなかったので、マンツーマンでトレーナーがついてくれたのはありがたかった。

 

私が使っているアメリカの携帯電話は、国境を越えたメキシコでは電波を受信しない。なので、携帯電話ショップに連れて行ってもらって、メキシコの安価な携帯電話を購入した。その帰り、コンビニに寄ってコーヒーを買ったのだが、私の財布には大きな金額の紙幣しかなく、コーヒー代を払う小銭がなかった。

 

ここでトレーナーにコーヒー代を払ってもらうのに言い訳をする必要はなかったのかもしれないけど、当たり前みたいな顔をするのも嫌だったので、彼に「国境の人たちにあげちゃったんで、小銭がない」と言った。

「あんな奴らに金をやっているのか?」

彼は呆れたように言った。
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オタイメサのゲートで、米国入国審査を待つ車の列(以下、撮影はすべて筆者)


"はじめに"


米国の自宅からメキシコの職場への「越境」通勤も、2カ月になろうとしている。私はかつてメキシコシティやそれ以外のメキシコの都市に住んだことがあり、メキシコだからといって、特にびっくりするようなことはない。でも毎日国境を越える暮らしは初めてで、人間の都合で荒野に設定された「線」が人間の生活に大きく影響することを実感している。

メキシコへ自家用車で入国する場合、事実上審査はなく、パスポートを見せることもない。でも米国への入国は書類の審査があり、場合によっては車内やトランクの検査があり、相応の時間がかかる。タイミングが悪いと2時間近く待つことになると聞いていたが、実際その通りだった。そしてこれも予想していたけど、長い列を作って入国審査の順番を待つ車のあいだを、たくさんの物売りや物乞いが歩いていた。

2カ月のあいだ、彼らから教えてもらったこともあるように感じている。国境通過時に優先レーンを利用するパスが取れたので、彼らとももう会わなくなるけれど、忘れてしまう前に彼らのことを書いておこうと思った。

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『辰野登恵子アトリエ』三上豊編・著、桜井ただひさ撮影、せりか書房、2017年



アトリエ---「死者」の遺せしもの

2014年、画家・版画家の辰野登恵子が転移性肝癌のため64歳で逝去した。辰野は1980年代に抽象と具象のはざまにあるような油彩作品でスタイルを確立した画家だ。美術館での展示経験も多く、2003年からは多摩美術大学で教鞭を執り多くの後進を育てた。現代美術界ではその名を知らない人はほとんどいない巨匠のひとりである。
デビュー当時から高い評価を得て精力的な活動を展開してきた辰野だが、とくに大学勤めが始まってからは制作基盤の見直しを考え始めていたようだ。腰を据えて制作に臨める新しいアトリエを欲し、杉並・下井草の閑静な住宅街に念願となる半地下構造の住居兼アトリエを新築したのは、辰野が逝去する8年前、2006年のことだ。
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---『回花歌』梗概---
舞台は2000年代、とある大陸の西方にある街。"私"と家族は牛肉麺屋を営んでいる。街は、かつて核実験が行なわれていた土地のすぐ近くにあり、その影響を暗に示すような出来事が、家族の周囲ではいろいろと起きている。しかし、"私"と家族を含め、街の人々は核や原子力に対する正しい知識や情報を持たず、故に恐れを抱くこともない。彼らは宗教と自身の信仰心を大事にし、家族や親族、友達を大事にして生きている。「何かがおかしい」と感じられるような状況下でも、人々の生活は変わらずに続いてゆく。『回花歌』は、そんな物語である。
 

11---"叔父の家"より続く)

12--- "開けゴマ!"


昨夜は午前2時過ぎに叔父の家から帰ってきたせいで、朝から私は頭がぼんやりして身体もまったくシャキっとせず、お茶をこぼしてしまったり、お碗を落として割ってしまったりしたけれど、兄やライヒはいつもと変わらず注文を受けては、せっせとリズム良く牛肉麺を作り続けていた。

昼の混雑を過ぎ、みんなで昼食を済ませた後、母と叔母、私は明日の夜、店で行う食事会の買い出しに出た。明日はハラブが戻ってくるし、明後日は薬草を摘みに行くからということで、関係者を招いて食事会を催すことになったのである。結果、総勢20名ほどが食事会に参加することになった。イマームも食事会に来てくれることになり、これは名誉なことだと父や叔父は俄然やる気を出し、食べきれないほどの料理をふるまうよう母や叔母に言いつけた。

八百屋の店先に陳列された赤子の頭ほどもある大きな馬鈴薯を手にとり、叔母は憮然とした表情で「食事会なんてまったく面倒くさいよ」とぶつぶつ言った。その横で母が「ハラブが帰ってくるお祝いでもあるんだし」と叔母をなだめながらトマトを手に取っていた。
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きょうのてらださん(運転する春)より続く。

イオンにて

イオン近江八幡ショッピングセンター

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