IーI:声と言述
どこから語りだそうか。とりとめもなく、記述言語と音声言語のはざまをなぞらえる、描くディスクールというものへの関心がいぜんよりもある。それは神経症を煩わせているとも勘違いされうるばかりの、過敏なほどの美意識をもってしながらも、同時にまがまがしさにうちひしがれる余韻を曳きづり、僕と僕の語りうるものへと大きく距離を空け、懸隔をもたらせざるをえないものである。
» すべて読む
リンジのキャンプ地には、私たちを追い抜いていったトレッカーたちのグループがいると思ったのだが、着いてみると姿が見えなかった。リンジから南へ向かい首都ティンプーを目指す彼らは、別の地区でキャンプをするのだとジャムソーが教えてくれた。他方、私たちはこのままラヤまで東へ向かうことになる。