2016年に入ってはやくも1ヶ月が経とうとしているのに、思い出されるのは何故か去年のことばかり。年明け最初のエントリにふさわしくない内容であるのは承知の上で、昨年読んで印象に残った本について書きたい。2015年は、川田絢音の『雁の世』と岩佐なをの『パンと、』に感銘を受けた。奇しくも2冊ともベテラン詩人による思潮社刊行の詩集である(川田は1940年生まれ、岩佐は1954年生まれ)。
川田についてはまた別の機会に譲るとして、今回は岩佐なをの『パンと、』についての所感を記しておこうと思う。
「あたかも一万年も生きるかのように行動するな。生きているうちに、許されている間に、善き人たれ。」マルクス・アウレーリウス(『自省録』、岩波文庫、48頁)