2015年02月

 曽野綾子問題で不思議に思うのは、どうしてこれほどまでに(一部の?)人々はテクスト論を理解しようとしないのだろうか、ということだ――後日譚としてラジオでのインタビューの文章も参考になる――。テクスト(端的に言葉といってもいい)は作者の意志や意図を離れて流通する。読者は特定の共同体で囲わない限り、メディアが大きくなればなるほど、作者の来歴や思想傾向や心情=真情を斟酌しない。し、たぶん、するべきでもない。

 いや、時評などしたいわけではない。そういう営みは、日々のニュースを咀嚼するのに必死なコメンテーターや新聞購読者に任せておけばいい。私が言いたいことはとてもシンプルだ。つまり、恋することというのはとても大切なことだ、ということ。

 一転して。ご存知かどうか知らないが、私は一貫して、友愛でもなく性愛でもなく恋愛に興味のある男であり、常に恋愛のことについて考えているのだが、どうしてそうなってしまったのかをボンヤリ考えてたら、ついに答えが出た。簡単にいうと、恋愛において人は初めてテクスト論者になれるのだ。

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↑フランスのアングラシーンで活動していたカルトなブラックメタル勢力の雄、Vlad Tepesの初期作。普通の人は絶対に受け入れられない狂った演奏。本エントリはこれを聴きながら読むと、楽しいかもしれない(多分、嘘)。
 

『Comedii of Erroos Vol. 2』
日時: 2月14日(土)午後7時開場、7時30分開演
会場: "Ftarri"
主催:
Comedii of Erroos
追湾及 + 諸根陽介(ディスクジョッキー)
チャージ:500 円
 

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安斎テンプレ(太枠紙そのまま)

(本文、画像編集、構成/東間 嶺、以下すべて同じ)

サンドゥルップの町

おそらく国境線の真上に建てられた「門」の下を通ってすぐのところで、ラヒムは車を停めた。入国管理の役所なのか、道の両側には小さな建物がぽつぽつと建っている。その背後はもう雑木林で、20年以上も前にオートバイで通過した、グァテマラ~ホンジュラス国境の様子を思い出した。

車を降りると、ブータンの伝統的な衣服を着た、大柄な男性を紹介された。男はソナム・ジャムソーという名前で、私のガイドだという。彼にエスコートしてもらってブータンの入国手続きをすませた。入国管理事務所はITシステムを導入したばかりで、係員は「システムの動作が遅くて」としきりに謝っていたが、指紋を取り生体認証の写真も撮り、無事に手続きを終えた。

車まで戻ると、ラヒムが別の男性と談笑している。ジャムソーと同じような伝統服を着ている。ドライバーのネテンという人物だという。ここで、ネテンの運転する韓国製SUVに乗り換える。ラヒムはそこで帰ってしまい、お礼もそこそこに唐突に別れることになってしまったが、旅の出会いというのはそういうものかもしれない。
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高群逸枝
(↑高群逸枝『愛と孤独』、理論社、1958)。

 高群逸枝(1894‐1964)。女性史学者。雑誌『婦人戦線』を主宰した。詩人、フェミニズム&アナーキズム系評論家の活動を経て、婚姻史を中心に、日本母系制社会の解明から女性の歴史をたどる女性史学を創始する。主著は『母系制の研究』(厚生閣、1938)、『招婿婚の研究』(講談社、1953)。その他多数。
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