
◆ あれは確かまだ真夏のころだったと思うが、渋谷のセンター街からほど近い一本の路地で、奇妙な「グラフィティ」を見つけた。生命に差し障りを感じるほどの凄まじい暑さから一刻も早く逃れようと、目的地までズンズン歩いている途中だった。
◆ はじめに視界へ飛び込んできたのは、ヴィヴィットな色の紫陽花が散りばめられたレインコートを身に纏い、長靴を履いて水たまりに立つ「子供」の姿だった。
◆ 性別は、分からない。
◆ 少女のようにも見える。少年のようにも、見える。何れにしても、「子供」であることだけは伝わる。
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