今回は【言葉の常備薬】呉智英/双葉文庫 からのお話。
ぼくは子供のころから、父親に「”食う”のは動物、”食べる”のは人間」だと教えられてきた。
それでぼく自身は周りがいくら「食う」と言っていても、意識して「食べる」と言うようにしてきたつもりである。でも、実際のところ、食うって表現をする人はあまりにも多い。最近の傾向なのかどうかわからないが、女の子でさえも「食ってみて」なんて言っていたりする。
食うという表現に接するたび、ぼくは、別にどうってことない反面、どこか気持ちのよくないしこりを感じ続けてきた。