8月16日


無職20日目。朝起きるが、ゴロゴロしていて、結局、午前中は寝たり起きたりを繰り返す。午後は夕方まで延々ラジオ(NHK-FM)でアメリカンポップス、グールドのバッハやジャズを聴いて過ごした。また、読みさしの荒川洋治『文学の門』(みすず書房)を少し読んだ。外気の暑さが峠を越えた5時過ぎに家を出て、いつものコースで実家のある狭山にむかう。暑くて汗が止まらないので、飲み物を欠かさないように気をつけた。7時前には実家に着き、入浴後、両親と夕食のカレーを食べた。また一週間ほど滞在する予定。夕食後はジョージ・スタイナー『マルティン・ハイデガー』(岩波現代文庫)をすこし読み進めた。ハイデガーの思想は夏向きではないが、夏に向いている思想哲学など存在しないような気もする。このレベルの評論を原文(英語)ですらすら読めたらなーとしばし夢想した。
 


8月17日


無職21日目。7時起床。朝食後、実家の床を片端から雑巾がけ+風呂掃除で一汗かいた。昼食に昨晩の残りのカレーを食す。
午睡は1時間のみ。夕方、母と一緒に市立図書館に行き、本を5冊借りた。夕食後はそのうちの一冊、佐藤優『交渉術』(文藝春秋)を読む。読書のスピードは着実に加齢(+ うつ病)と共に衰えていると感じる。やがて老眼で読書じたいが億劫になるときが来るかと思うと哀しいが、誰もみな加齢からは逃れられないのである。哀しんでも仕方がないことかもしれない。夕立があり、夜は涼を得られて助かった。
 


8月18日


無職22日目。6時半起床。午前中に昼寝をし、目覚めたら13時を回っていた。ウヒョヒョ。昼ごはんは両親と一緒に、冷やし中華。

午後は読書に精進するが、やはり読書は連続2時間半が限界だとしみじみ。2時間を過ぎると第一に能率(読書スピード)が落ちるし、抽象的な概念の組み合わせを受け付けなくなる(読めるには読めるが、きちんと内容や構成を理解しようとする気が失せる)。しかし読書の進捗度合いから見ると、頭の具合はだいぶ回復してきたらしい。哲学書も少しずつ読めるようになったのはうれしい。

ところで最近、友人からの薦めで日本語教師という職に興味をもって調べているが、給料が安いようで、図書館司書などと同様に供給過多の労働市場なのだなあと思う。「カネはめちゃんこ安いが、知的労働に従事しているのだ!」という精神的報酬ばかりで、わが30代を渡っていけるかというと心もとない。しかし、やりがいがない仕事はもうごめんだという気持ちも強い。コールセンターやヘルプデスク、テクニカルサポートといったITサービス分野の仕事なら、おそらく再就職もさほど難しくはないだろうが、まったく楽しくないだろう。費用対効果を考えると、一番適当だが、割りきって仕事が続けられるかというとはなはだ疑問なのだ。贅沢な悩みだということは承知しているのだが…。

端的に何か資格をとって(一定期間勉強して)職を変えるにしても、そろそろ動き始めないとな、と感じているきょうこの頃、弱いメンタル=ヘタレをいかして、うまく社会復帰に繋げていきたいものである。最近は自分の弱さを逆手にとって、自分自身をドライブさせてゆかねばならんと考えております。すこしは成長し たらしい(ゆっくりだけどね…)。
 


8月19日


無職23日目。8時起床。昼寝は無し。昼ごはんは、そうめんを食べる。
夕方、近所の古本屋で買った池田邦彦『シャーロッキアン!』(双葉社)の2~3巻を読む。面白かった。
夜、世田谷の妻に電話したところ15分にわたって罵倒された挙句、「もう寝るから」と言って電話を切られた。悲しかった。
  


8月20日


無職24日目。8時起床。朝ごはんは納豆。
雑巾がけのあとの昼ごはんはそうめん。午後は昼寝と読書。
母がデジカメのデータをPCに移して、プリンタで光沢用紙をもちいて印刷したいというので二時間ばかりサポートする。まるで業務w
夜、ケータイに妻の名前の着信を確認したので折り返し電話するも「かけた覚えなど無い!」と繰り返し言われたので、すごすごと引き下がった。あわれなり自分。
 


8月21日


無職25日目。9時起床。朝ごはんは納豆。昼ごはんはチーズトースト。午後は昼寝と雑巾がけ。
夕食のあと、西研『大人のための哲学授業』(大和書房)を読む。著者はカントやヘーゲルを大切に考えているが、いまいち灰汁が無くて、いい人感が行間に漂ってばかりいる。やはりわたしは中島義道や池田晶子の苦みばしった文章が好きだなあと思ってしまった。
 


8月22日


無職26日目。9時起床。
母や父の手伝いをして一日過ごす。といっても、午後は昼寝をした。
入浴&夕食後、20時過ぎに実家を出て電車を乗り継いで自宅へ。実家で入浴したが、帰り道で汗に濡れたので、自宅ではシャワーを浴びて汗を落とした。久しぶりに(といっても一週間ぶりなのだが…)に妻に会うと妙に嬉しい。日付が変わってから消灯。