-
留学をめざした元ニート (2) 山・前編
- 2012年04月26日 00:53
- フランス留学目指した元ニート
仕事内容は客食、掃除、小屋受付など。気温は真夏の日中でも20℃台、夜は氷点下になることもあり、8月にも関わらず霜焼けになった。10月に入ると沢から引っ張ってくるホースの水が凍結しはじめる。雪も降って時たま積もった。電力供給は自家発電のみ。お湯は火で沸かすしかなく、風呂は週に1度。それでも3日位放っておくと頭が痒くなってくるので、「水のいらないシャンプー」を頭皮にもみこみ冷水をぶっかけてごまかした。電気をつける(発電する)のは朝夕の食事の時間帯だけだが客の入らない日はまったくつけない。大体そんな日は台風などの悪天候で誰も登山なんかしないような日なので、失業したスタッフは暗闇の屋内に引きこもる。以上が端折りに端折った小屋生活の概観である。
-
【ATLAS】アフター・ザ・カタストロフィ…新たなる原子力の時代に[01]
- 2012年04月25日 21:35
- [ATLAS]新たなる原子力の時代に
開始の合図として書かれるメモ:
「多くの写真は、最上のセザンヌよりも美しい」(『ゲルハルト・リヒター 写真論/絵画論』 訳:清水 穣 淡交社)
◆ 「ATLAS」とは、ゼウスに敗れた後に天を支える罰を与えられたギリシア神話の巨人であり、16世紀にメルカトルが表紙として用いて以後は、「地図帳」の別名ともなった。高齢化の進む日本のゲームおたくならば「信じたものだけが世界の真実となっていく」仕組みの、大航海時代を扱ったシミュレーションゲームを思い起こすだろう。
そして、「現代美術」という、西欧世界の奇っ怪な知的営みの最果てに関心がある人たちには、「巨匠」リヒターの風変わりな「代表作」として、あまりに有名だ。
-
ウツノウミカラ、キカンセヨ! (3) 休職中に結婚式を挙げる (2011年10月後半~11月)
- 2012年04月25日 18:57
- ウツノウミカラ、キカンセヨ!
6時半起床。わたしと妻の結婚式なので、結婚式をした。神前式は明治時代に生まれたもので歴史が浅いが、神主の祝詞奏上もこれは仏教の影響を受けて生まれたもので、やっぱり発声の仕方も僧侶に似てるな~などと思いつつ、三三九度+ショウとヒチリキのアンサンブルにてしばしトランシーな良い具合になった。披露宴は極めてシステマティックに無事進行したが、魂は虚ろだった。現在の結婚式はあまりにも形骸化し過ぎており、産業化の度合いが甚だしい…などと陳腐に憤る気力も無かったが、このような仕組みで満面の笑みを浮かべられているご老体や朋友も散見されたので、結局やって良かったという結論に至り、まあしかしくたびれた、休職している身には。
-
【訳】ピエール・パシェ「微笑みに微笑む」
- 2012年04月25日 15:34
- 翻訳
一方で、誰かを認識することは受動的なことだ。これは不可避だ。求めに応じて、記憶の道筋にある、彼女について知っていること、先行する出会いの数々、エピソードなどを外に出してこれるのは、彼女や彼が名前をもっており、現前する個人(またはイメージや写真)と名前と感じられたもやもやしたもの、それらの混合物の周辺が一種ざわめいているからだ。感情的émotifなショックには認識がないことはないように見える。そのショックは私たちの物事の知性や意志に先行しているだけだ。うまくいっていればどんな場合でも、顔認識能力は一時的慢性的障害に陥ることはない(《顔貌失認prosopagnosie》は今日存在している神経科学や人工知能の多くの研究のうちの一つで、現象の情報処理モデルの構築の可能性から刺激を受けている)。あたかも、私達の人間性が、特に子供の頃に基礎をもっていて、出生後のしばらく、それが自分に向けられた微笑みに微笑みで応えているかのようだ。《微笑みで認めよ》(ウェルギリウスが「微笑ミデ認メナサイcognoscre risu」と言っていたように)。そしてそこで、はじめは奇跡的であると同時に幻想的に現われるものをもとにして、その発達の輪郭の基礎が形作られる。
-
ウツノウミカラ、キカンセヨ! (2) わたしは仏陀よりキリストより偉い (2011年10月前半)
- 2012年04月24日 17:17
- ウツノウミカラ、キカンセヨ!
先日、わたしは自宅で酩酊して、「わたしは仏陀よりキリストより偉い」と口走った挙句、トイレの便器で嘔吐。妻によれば「ぼくが神なんだ。この世界はぼくのもののはずなんだよ。なのに何もかもうまく行かないんだ」とも言っていたらしく、さすがに寛容な妻も閉口したという。もちろん酔いが覚めたあとは妻に謝った。
昨日、精神科に行ったところ、主治医に開口一番「調子悪そうですね~」と言われ、会社に行けないことなど話をしたところ、薬の種類が変わり、経過観察しながら、休職も検討しましょうという話になった。一安心というか不安が増したというか複雑な心境だが、何もかもしたくないし、あまり死にたくはないのだが、とにかく寝ているのが唯一の楽しみで、我ながら頭がだいぶおかしくなってしまっていることは分かっているので、三年前、主治医に言われたことを思い出した。
「最終的には薬は止められると思います。ただ長い闘いになりますよ」。
全くその通りだ。人生の酷薄さを噛みしめざるを得ないが、やがてやや朗らかに暮らせる日も来るであろうと自らに言い聞かせて、前へ前へと進まざるを得ないのだ。ああ、なんと憐れで安っぽいヒロイズム無しに、わたしは生きられないのだろう。本当に憂鬱になる(鬱状態とは別な意味で)。もはや笑うしかない。
-
フランス留学をめざした元ニート(1)
- 2012年04月24日 16:45
- フランス留学目指した元ニート
これから書こうとしていることは留学をめざすようになってから今に至るまでの経緯ですが、正直ブログで自分の過去を曝け出すのはちょっとどうかと思っていました。ただ、もし記事を書く目的が私にあるとすれば、現在の視点から過去を思い返した際、その節々の場所的・社会的・経済的環境etcが自分の思考・行動・表現にどんな影響を与えていたか、そして現在や未来のそれとどのように繋がるのかを把握することはフランスで美大生をしている以上、重要なんじゃろなと考えた点にあります。
この記事は、だから何よりも自分の為に書こうと思うのです。
とは言っても、多くの方に読んでいただければ幸いです。
-
もしも『悪霊』のキリーロフがハイパーメディアクリエーターだったら
- 2012年04月24日 13:50
キリーロフ「くっくっくっ、愚かな人間どもよ。われこそは、新世界の神になる男、ハイパーメディア神人キリーロフ様だ。私がクリエイトとするハイパーメディア幻獣を使って、ネオ四大幻獣の封印を解き放ち、グローバルスタンダードと高学歴ワーキングプアで腐りきったこの世界に、真のIT革命をもたらしてやろうぞ。フッハハハハハ」
-
アラサー入門(2) 「女生徒」の影にひそむアラサー
- 2012年04月23日 14:32
- アラサー入門
太宰治の「女生徒」をたまたま読み返した。
本当は「富獄百景」が読みたくて岩波文庫の『富獄百景/走れメロス』を風呂につかりながら読んでいたら、たまたまそれにぶつかったのである。
「女生徒」の冒頭の文章はわりに有名だろう。普段文学作品を手に取らない人も知っていたりするのではないか。
-
荒木 優太の新刊
- 仮説的偶然文学論 (哲学への扉)
- 出版:月曜社
- 2018-05-24
-
荒木 優太の新刊
- 貧しい出版者 政治と文学と紙の屑
- 出版:フィルムアート社
- 2017-12-22
-
荒木 優太の連載「在野研究のススメ」が本になりました
- これからのエリック・ホッファーのために
- 出版:東京書籍
- 2016-02-24
-
荒木 優太の単著
- 小林多喜二と埴谷雄高 [文庫]
- 著者:荒木 優太
- 出版:ブイツーソリューション
- 2013-02-20
-
荒木 優太が第59回群像新人評論賞で優秀作に選ばれました
- 群像 2015年 11 月号 [雑誌]
- 出版:講談社
- 2015-10-07
-
東間 嶺が寄稿しました
- ウィッチンケア第9号(Witchenkare vol.9)
- 出版:yoichijerry
- 2018-04-01
-
東間 嶺が寄稿しました
- Witchenkare(ウィッチンケア)第8号
- 出版:yoichijerry
- 2017-04-01
-
東間 嶺が寄稿しました
荒木 優太が寄稿しました
- Witchenkare(ウィッチンケア)第7号
- 出版:yoichijerry
- 2016-04-01
-
東間 嶺が寄稿しました
荒木 優太が寄稿しました
- Witchenkare(ウィッチンケア)第6号
- 出版:yoichijerry
- 2015-04-01
-
東間 嶺が寄稿しました
- Witchenkare(ウィッチンケア)第5号
- 出版:yoichijerry
- 2014-04-01