いかにも柔らかく滑らかそうなフカフカのクッション。画面いっぱいに近接した距離で描かれたそれは、視覚の欲望を触覚のそれへと変えてしまう。植物モチーフやストライプの模様が覆う寝具、澄んだ光沢を湛える陶器、部分を拡大して描かれた果実。伊庭靖子はそうした日常の事物を撮影し、写真をもとに写実的な絵画を描くフォトリアリズムの画家だ。入念な手順を経て完成した作品は、事物と眼のあいだを満たす空間と光を精確に写し取り、見ることの官能的な歓びを観賞者にもたらす。

しかし、フォトリアリズムの作家という一面的な理解でのみ伊庭の作品を眺めるのであれば、この画家の視覚的探求の幅広さは見落とされてしまうだろう。注目すべきは技巧の高さ以上に、その視覚的探求の「際限のなさ」である。フォトリアリズムのアプローチは、あくまでこうした探求のための一手段に過ぎない。今年の秋、東京都美術館で開催された個展「伊庭靖子展 まなざしのあわい」は、ステロタイプな作品理解を良い意味で裏切ってくれる好展示だった。

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年末一覧


みなさまへ。件名の通り、新宿文藝シンジケート第94回会合を開催します。
詳細は下記をご参照下さい。ふるってのご参集、よろしくお願い致します。

1. 日時: 2019年12月21日(土) 18時00分〜20時00分
2. 場所: 『路地と人』(東京都千代田区神田三崎町2-15-9 木暮ビル2階)
3. テーマ:『あれ読んだこれ読んだ』2019年課題図書総括 !

※ 当日は各月の選書をわちゃわちゃとトークしつつ、忘年会的に一年を振り返ります。可能な参加者は、自分が今年読んだ本の中で記憶に残ったものなども持ってきて下さい。

4.備考: 当日は場所代と忘年会費あわせて1000円ご負担ください。参加予定の方はFBイベントに《参加》のクリックをお願いします。ご質問・ご不明点あれば、以下アドレスまでお気軽にお問い合わせください
shinjukubungei@gmail.com


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※10/9日追記。諸事情により会場が変更になりました。恐縮ですが、新しい会場をご確認の上、お間違えないようお願い致します。
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sept. 07. 2019  "記憶の幽霊 / Ghost of Memory"  Tokorozawa, Saitama

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責任、この得体のしれぬもの

私は著者からこの本を献本いただいた者の一人である。

著者の荒木優太は日本文学の研究者だが、大学機関には席を置いていない。過去に日本文学研究の本と、大学とは離れた場所で生きた研究者たち(荒木は愛着を込めて彼らを「在野」と呼ぶ)の業績をまとめた本を出した。また、YouTuberでもある。侮ること勿かれ、この男は「新書よりも論文を読め」といういささか挑発的な題でもって、折々気にかかった論文を動画で紹介している。この動画が面白い。10分に満たない長さで種々雑多な論文を要約して語ってみせるといった試みなのだが、見終えた後には題のとおり新書なんかよりもひとつ論文を読もうか、という気にさせる、そういう男だ。

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※8/20追記。諸事情により会場が変更になりました。恐縮ですが、新しい会場をご確認の上、お間違えないようお願い致します。
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文章読本さん江 (ちくま文庫)

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